Movie Review!-ワ行

ワールズ・エンド/酔っぱらいが世界を救う!
ワールド・ウォーZ
ワールド・オブ・ライズ
ワールド・トレード・センター
ワイルドシングス
ワイルド・スピード
ワイルド・スピードX2
ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT
ワイルド・スピード MAX
ワイルド・スピード MEGA MAX
ワイルド・スピード EURO MISSON
ワイルド・スピード SKY MISSON
ワイルド・スピード ICE BREAK
ワイルド・スピード/スーパーコンボ
ワイルド・スピード/ジェットブレイク
ワイルドバンチ/オリジナル・ディレクターズ・カット
ワイルド・ワイルド・ウエスト
わが教え子、ヒトラー
鷲は舞いおりた
私ときどきレッサーパンダ
わたしの中のあなた
私は告白する
WATARIDORI
悪いことしましョ!
ワルキューレ
ONCE ダブリンの街角で
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
ワンス・アンド・フォーエバー
ワンダーウーマン
ワンダーウーマン 1984


邦題
満足度
感想
ワールズ・エンド
酔っぱらいが世界を救う!

(2013年制作)
7
青春時代に果たせなかったパブ12軒のハシゴ酒。今や中年になった主人公のゲイリー・キングは、当時の悪友4人を誘い、再びハシゴ酒"ゴールデン・マイル"に挑戦するが…。
エドガー・ライト監督、サイモン・ペッグ&ニック・フロスト主演のコメディ…と言えば、バカでドタバタな映画愛にあふれるB級コメディを期待するが、この作品も例に漏れずバカでドタバタw 今回は「ボディ・スナッチャー」や「遊星からの物体X」、「光る眼」を彷彿とさせるような侵略系SF映画のオマージュがたっぷり。デカい現代芸術も「地球の静止する日」のゴートなんだとか。言われてみれば。
でも序盤にハシゴ酒を始めるくだりまでは全くそんなジャンル映画の展開になるとは想像できなかった。特にラストは…救ってないやんw どちらかというと主人公は世界の秩序を破壊してしまった側であって、原題の"THE WORLD'S END"はそのままの意味か。でも微妙なところだよな、人間としては自由であって、彼にとっては幸せなのだろうし。善意の宇宙人とはいえ、不従順な人間の運命を考えるとねえ。個人的にはもっと爽快なコメディかと思っていたら、これでいいの?っていう結末も含めて、思いの外シリアスで驚いた感じ。
登場人物名のキング、ナイトリー、プリンス、チェンバレン、ペイジが、王とその僕という関係性を彷彿とさせるのは遊び心の類か。太めのニック・フロストがやたらと強いのも"ナイト"だからと思えば妙に納得。
ワールド・ウォーZ

(2013年制作)
7
突如爆発的に広がった、何らかのウィルスが原因と考えられる人々のゾンビ化。世界中の都市が壊滅する中、主人公は国連の命を受け、原因を探るべく行動する。
「ドーン・オブ・ザ・デッド」や「28日後...」もあり、走るゾンビは今でこそ珍しいものではなくなったけれど、米国やイスラエルの場面で繰り広げられる物量にモノを言わせた襲撃シーンは圧巻。人がゴミの様に押し寄せる様はまさに人海ですな。「バイオハザード」より、しっかりバイオハザードしてる、とも思ったw
ただストーリー運びは割と平凡だしご都合主義。家族と居る日常の崩壊は王道としてアリとしても、家族が半人質状態であることや、娘が喘息持ちであることは映画の終盤ではあまり意味をなさなくなっている気がする。前半の大規模なシーンに比べると後半は普通にゾンビ映画になってしまっているし、失速とも取られかねない感じ。冒頭でウィルスを示唆されるのでワクチンで解決する話になるかと思いきや、根本的な解決までは持っていかないんだね。まあ話の規模が大きすぎるので、このくらいのオチの方が自然な気はするが。話にもう一捻りか、クライマックスにもう一山あれば良かったのだけど…。
修羅場を潜り抜けてきた元国連職員という役柄は、ブラッド・ピットは違和感ない。主人公なのでとことん強運なのは仕方ないが、しかしあの飛行機墜落で助かるのは主人公補正にもほどがあるだろう…w
ワールド・オブ・ライズ
7
中東での諜報活動を行うCIAエージェントの主人公と、安全な本部から指示を出すだけの上司との関係を中心に、米国の対テロ諜報活動の一端を描いたスパイサスペンス。
リドリー・スコット監督作品ながら、なんだかそつなくこなしている印象が強くて、良い意味での裏切りが無い分ちょっと物足りなかった。情報局同士の腹のさぐり合いやテロ組織への諜報活動、女に惚れたスパイの失敗など、スパイ映画のエッセンスは詰まっているので退屈はしないけど、もう一つ突き抜けるモノがなかったかなあ?
主演のディカプリオは傷だらけの現場担当で、身体を張った演技もなかなか。“アメリカ”そのものを体現したかのような不遜な上司を演じるラッセル・クロウも良かった。それだけにもうちょっと緊迫感が伝わる画ならもっと面白かったかもね。個人的にはヨルダン情報局のトップを演じたマーク・ストロングが特に印象に残る。ストーリーでは事実上の好敵手だけど、そこを“切れ者”として説得力たっぷりに演じてたね。
ワールド・トレード・センター
8
9.11。崩壊したWTCから生還した2人の港湾警察官と家族の9.11その時の実話に基づいた物語。
社会派オリバー・ストーン監督が描く9.11事件。ではあるけど、彼らしい強烈な政治メッセージはなく、この悲劇の中で現れる人間の“善”をテーマにしているよう。何故事件は起こったのかという目線ではなく、その時にその場所にいた彼らはどうしていたのかという、もっと当事者の目線に寄っている。
そこに描かれるのは崩壊後の瓦礫に埋まり、まるで地獄のような体験をしている彼ら。とても想像出来るものではないけど、暗闇の中の恐怖は画面で見る以上のものだと思う。ひたすらに恐ろしいけれど、休出されるシーンでは二次災害の危険の中で決死に休出活動する隊員達の姿には感動した。この悲劇を生んだのも人間の力であれば、彼らを助け出したのも人間の力。何とも複雑な気分になってしまうね。
ワイルドシングス
6
あるレイプ事件をキッカケに、ストーリーが二転三転するサスペンス。
奇を衒いすぎ!というのが第一印象。確かにストーリーは二転三転、四転とするのだけど、オチまで見てしまうと、展開が観客を引っかけようとしすぎているせいか、多くの場面で不自然に見える。それが致命的だし、あとこれだけ話をひっくり返してもオチが読めてしまうというのも恐ろしいものです。ハッキリ言ってサスペンスなのかコメディなのか分からんw
最後のネタバレを見ちゃうと、一番おいしい役はビル・マーレイの弁護士だったんだなあと思ったね。
ワイルド・スピード

(2001年制作)
7
ストリート・ドラッグレースを仕切るレースの天才・ドミニク。新顔のブライアンはそんな彼にレースで挑み敗れるが、警察の追跡からドミニクを助けたことで一目置かれるようになる。
レースシーンは迫力満点。多少のVFX(視界がゆがむ)などの遊びのシーンもあるけれど、実車でも撮影の工夫でかなりのスピード感が体感できる。トラック強盗の場面もなかなかのアクションシーンだけど、トラックが律儀に並走している分には、ちょっとご都合だなあと思う部分もあるが…。まあその辺はノリと勢いだよねw
ブライアンがドミニクに接近する理由は、潜入捜査でトラック強盗犯と思しきドミニクの組織に潜入するため。彼らと生活する内に感化されていく感じは、この手の話としてはかなりベタか。でもゴツそうなのに繊細そうな表情も見せるドミニクをヴィン・ディーゼルが格好良く演じているのでついつい引き込まれる。ポール・ウォーカー演じるブライアンとの対比も良いけれど、やはり警官としてはブライアンの行動はどうなのよと思ったり…。まあ漢としてドミニクに惚れちゃったのだろうけれど。
ワイルド・スピードX2

(2003年制作)
6
前作の潜入捜査の後、マイアミのストリートレーサーとして金を稼ぐブライアンだったが、警察から国際的なマネー・ロンダリング組織の囮捜査を持ちかけられる。
潜入捜査モノとしては結構王道だった前作に比べると中身が軽くなった感じ。どちらかというとバディムービーかな。レースシーンはスピード感は十分あるけど、自由自在なカメラアングルを考えるとだいぶVFXに頼っていて、生の迫力というのからはちょっとズレたかも。車が主人公みたいな話なのにクライマックスですらCG頼みだからなあ。
ストーリーも平凡で、深夜にテレビで流れてそうなB級映画の面持ちの方が強くなってしまった。まあ前作のロスからマイアミに舞台を移して、その太陽の明るさとか雰囲気で違いが出ているのは良いのかもしれないけど。メインのマシンは三菱のランサー・エボリューションZで、それが活躍するのが日本人としては少し嬉しい気はする。
ワイルド・スピードX3
TOKYO DRIFT

(2006年制作)
7
日本にやってきた車好きの問題児・ショーン。日本の生活に戸惑う中、そこで目にしたのは夜な夜な開かれるドリフト・レースだった。
前作までと打って変わって、というか登場人物も舞台も変わってシリーズものとしては大胆な転換。カーレースがシリーズの顔であるから、こういう思いきりは評価するものの、日本人としては米国から見た妙な日本観が散見されるのには苦笑いw 特に前半は…。エンタメ映画なので異国情緒以外に細かいことは求めはしませんが…。まあドリフトがテーマになったことで、ちゃんと日本を舞台にしてくれたのは逆に喜ぶべきか。
ドリフトメインのレースシーンは迫力もあるし見せ方は悪くないと思う。さすがに公道で人を書き分けたりは合成バリバリだけどw 細かいことを言うと、軍人の息子があんな事故を起こしたらもう個人の問題で収まらないよなあ。ヘタしたら国際問題だよなあ…と思ったけど飲み込んだ。一方で日本人のカメオ出演も多く、釣り人役の土屋圭市にはニヤリ。
まあストーリーラインが前作までと違いすぎるので、別映画と思っても良いかと思っていたら、ラストのヴィン・ディーゼル登場に驚いた。こういう遊び心は評価する。
ワイルド・スピード MAX

(2009年制作)
8
シリーズ4作目。時系列的にはシリーズ2作目「X2」の続きとなる本作。恋人だったレティを殺されたドミニクは、復讐のために再び米国へ戻ってくる。
2作目の続きなのに、その2作目にはほとんど触れられないw それはともかくドミニクとブライアンのコンビは良い感じ。ストーリー的にも二人の利害を一致させて再会からバディムービーへと上手く運んでいるし、潜入捜査という1〜2作目と似たようなシチュエーションを使いながらも、飽きさせない作りになっていて楽しめたね。まあ1作目の事情を知っていないと話が分からない部分があるのは、シリーズものなので仕方がない。
要所に入るカーチェイスは迫力満点。実写で見せることに拘っているのが伝わるのも良いです。さすがに冒頭のタンクすり抜けはVFXだけれど、そこに至る一作目を引用した盛り上げ方も秀逸でした。3作目「X3」で死んだハンがこの冒頭で登場しているので、この作品が「X3」の前日譚だということが分かりますな。
ワイルド・スピード
MEGA MAX

(2011年制作)
8
前作「MAX」の直後、ドミニクを護送車から奪還したブライアンたちは、リオデジャネイロへ逃亡していた。
車を使った襲撃・強奪アクションはこのシリーズの特徴だけど、もう一つの特徴だったストリートレースの要素が減り、その代りに銃撃戦などのアクションが加わってかなり熱い。ということでこれまでのシリーズから少し毛色が変わって、よりアクション寄りの犯罪映画になった感じ。特に指名手配となったドミニクとブライアンを追うホブス(ドゥエイン・ジョンソン)が良いテコ入れになってるよね。ゴツいヴィン・ディーゼルの向こうを張るにはこれ以上ない配役。
序盤の列車襲撃もスピード感抜群だけど、終盤の金庫強奪も迫力満点だった。「ルパン三世」の様なトリックを使ってきたところはご愛敬だけどw そういえば監視カメラに映らないようにさんざん走行練習していたのに、結局それは実行されなかったんだな。
ワイルド・スピード
EURO MISSON

(2013年制作)
8
生きていたレティ。真相を確かめるべくドミニクはホブスの捜査協力の依頼を受ける。
レティを生き返らせたのはご都合主義だとしても、それでも話を引っ張る原動力としては悪くないし、ドミニクやブライアンの行動原理としても納得しやすい。前作の対決相手だったホブスとの共闘もアツいね。2人のゴツいハゲが格好いい…。シリーズの初めの頃の様なB級感はどこへやら、もはや完全に「アクション大作」になってしまったけれどw それでも登場人物や舞台などに、シリーズとしての纏まりが感じられて良いと思う。
さんざんやりつくされたはずのカーチェイスも、車をひっくり返すことを目的にしたようなフリップ・カーがアクセントになっていて見応え抜群。まだまだ見せ方次第で手に汗握るカーチェイスが観られるのだなあ、と感心した次第。さらに戦車チーフテンや巨大飛行機アントノフとまでチェイスするとは、この先どこまでやるのだろうかw
チームとしての結束力や、メンバーの個性も上手く出ているので面白いが、ジゼルの退場はちょっと驚いた。だけど考えてみればハンの死は「X3」で既定事項だし、そこにジゼルもいないわけだから仕方がないか。しかしもっと驚いたのは…エピローグに現れた3人目の格好いいハゲの登場であるw
ワイルド・スピード
SKY MISSON

(2015年制作)
8
前作の敵・オーウェン・ショウの兄、デッカード・ショウの急襲。“家族”を守るため、ドミニクとブライアンは行動を起こす。
時系列的に3作目「X3」の後の話になり、シリーズ7作目にして最新話、ということになるか。毎度のことながら車を使った縦横無尽のアクションは迫力満点。VFXも使ってはいるけど、基本的に実写アクションであるからこその説得力だよね。…まあちょっと派手さを追求しすぎて荒唐無稽さに磨きがかかったような気もするけど。カーアクションの他にも肉弾戦も充実しているし、アクション大作映画としては十分。
しかし本作の敵・デッカード・ショウは強すぎる。ターミネーターばりの頑丈さw ジェイソン・ステイサムが演じてるから余計に不敵なキャラが際立って良い感じ。ヴィン・ディーゼルやドウェイン・ジョンソンを向こうに回して肉弾戦を戦えるヤツとなると、これ以上の敵役はなかなかいないわなあ。でも主人公側がショウを追跡するための交換条件としてミッションを行っていたら、毎度ショウの方から襲いかかってくるってのは…、追いかける相手から現れるなんてなんだかジョークみたい。
本作の撮影中に事故で亡くなったブライアン役のポール・ウォーカー。ほぼ撮り終えていた彼の出演シーンはそのままにして製作されるという話は聞いていたけど、ブライアンの扱いはこの話の中でどうするのだろうかと思っていた。そして最後のトリビュートとなったわけだけど…ズルいな。あれをやられたらファンは誰だって胸に去来するものがあるだろう。「さよならを言わないのか」からのくだり、二人の併走、そして分かれ道。一足早く違う道に行ってしまったポール・ウォーカーへ、この映画の“家族”からの最高のお別れの言葉だった。
ワイルド・スピード
ICE BREAK

(2017年制作)
8
シリーズ8作目。ドムがファミリーを裏切った。ファミリーはドムとその背後にいるサイファーという名の女ハッカーの行方を追う。
昨日の敵は今日の友。またはその逆。なんかこのシリーズってそのパターンが多いような気もするけど、元が好敵手であればあるほど熱くなるのだから仕方がない。これまでだとレティやホブスがそういう役回りだったけど、今作はそれがドムとデッカードである。そりゃあ熱くもなるさ! まあドムの裏切りに関しては、最初から“事情”をにじませすぎたせいかちょっと緊張感に薄い気もするし、後付け感もあるんだけどね。でもデッカードの方は仲間になった頼もしさと、ジョーク(キャラが変わってる気もするがw)を織り交ぜつつ繰り広げた終盤の飛行機内の無双アクションが最高にカッコいい。同じ格闘戦でもホブスは刑務所での重量級アクションで見た目に差別化されてるのもいいな。ホブスにゴム弾が効かないのは笑ったw
シリーズのお約束であるレースやカーチェイスもちゃんと入っているけど、8作も続いていい加減ネタ切れにならないのかという心配もどこ吹く風。ちゃんと新しい見せ場を入れ込んでくるのだから大したものですな。本作ではニューヨークで自動運転を乗っ取られた多数の車が群体となって走るシーンや、潜水艦とのチェイスが迫力あってよかったね。この辺はVFXも多用されているけど、でも個々のカーアクションでは実写をうまく使ってるからこその迫力もちゃんとある。今や定番と化したアクション大作映画としては満足の出来栄え。ただ、そろそろキャラが増えすぎて、登場人物の人間関係などが一見さんにはとっつきにくい感じになっているのも確か。
ワイルド・スピード
スーパーコンボ

(2019年制作)
7
シリーズのスピンオフ作品。新型ウイルス兵器が盗まれた。その奪還のためにホブスとデッカードが召集される。
一応シリーズ名を冠してはいるのだけど、原題の"FAST & FURIOUS PRESENTS: HOBBS & SHAW"が示す様に、これは「ホブス&デッカード」というバディ・ムービー。「ワイルド・スピード」のキャラが出張出演したアクション・コメディ映画だと思った方が良いか。全体的に大雑把でご都合主義な展開と、殴り合い主体のアクション演出など、良くも悪くもなんとなく80年代くらいのアクション映画の雰囲気を連想するような作品だったな。あと往年の「007」の雰囲気も感じた。車はアストンマーティンじゃなかったけど。というか序盤はCMかってくらいマクラーレンが目立ってたな。
監督が「デッドプール2」のデヴィッド・リーチということもあってか、どちらかというとアクションよりもコメディ要素の方が目立っていたような気もするが、監督繋がりで出演したライアン・レイノルズにはビックリ。もはやカメオじゃねえだろってレベルで喋りまくりだしw もう一人のサプライズ、ケヴィン・ハートも調子のいい役で笑わせに掛ってましたなw 個人的にはそれ以上に細かい映画ネタも気になったのだけど、中盤にデッカードのアジトへ行った時、たくさん並ぶ車の一台(ミニクーパー)を指して「昔仕事で使った」って、あんたそれ"The Italian Job"(ジェイソン・ステイサムが出てた「ミニミニ大作戦」)のことかw ラストにはホブスがデッカードに「お前は『ミニミー』(「オースティン・パワーズ」のキャラ)だ」とか言ってるし、映画ネタにニヤニヤする。他にも気づいてないだけで字幕ではオミットされたネタが色々ありそう。(「ミニミー」は字幕では「親分と子分」になってた…。)
ワイルド・スピード
ジェットブレイク

(2022年制作)
6
シリーズ9作目。平和な日を過ごしていたドムとレティのもとにミスター・ノーバディから救援要請が。ドムは再び仲間たちと活動を開始する。
導入部から国を跨いでの戦闘&カーチェイスでアクション大作であることを改めて認識させられるが、特に序盤のカーアクションはら派手さに振り切っていてこの部分は最高だった。中盤以降は本作の目玉である“磁力マシーン”が大活躍していたけど、見たこと無い様なカーアクションを提供してくれる一方で「作り手は磁力を一体何だと思ってんだ」という様な描写が多くて疑問。まあこの世界ではそういうもんだと割り切りましたが…w
内容的には本作での対決する相手がドムの弟ということで、“ファミリー”をテーマにしたシリーズらしい内容にはしていると思う。でもドムの過去編も含めて後出し感が強いのでそのあたりをどう受け取るかでも話に入り込めるかに違いが出てきそう。個人的にはドムの弟はまだ良いとしても、ハンまで「実は生きてました」と再登場してくるとさすがにちょっと冷めてしまう…かな。というか話の上でどうしてもハンを生き返らせる必要性があったのならいいのだけど、本作のストーリーラインでそうだったのかは最後までわからなかった。話の発端であるはずのミスター・ノーバディの安否も最後まで不明だし、全体的に雑な感じがするのは否めない。敵との駆け引きの部分にしてもそういう感じがしていて、アクション全振りの映画だからまだ受け入れられるけど、これがもし丁々発止のスパイ映画ですよと言われたらキツいレベル。
そんな感じでアクションは派手で良いものの、それ以外の部分に関しては微妙な印象が強かった。一方で徹頭徹尾コメディリリーフをこなしていたローマンのキャラクターは安定していて面白かったかな。「俺はアンブレイカブルだ」と言わんばかりの運で傷一つつかないというネタは好きですw
ワイルドバンチ
オリジナル・ディレクターズ・カット
8
西部開拓時代も終わった1913年。武装中年強盗団の末路を描いたサム・ペキンパー監督の名作西部劇。
銃撃で血が飛び、馬は転倒し、人は引きずられ、衝撃的なアクションが繰り広げられる冒頭からその暴力性に圧倒されるけれど、話の展開には緩急があって中盤過ぎまではノリにくかった。ほぼメキシコが舞台になるのも、典型的な西部劇を想像していたので少し違う感じ。
アクションシーンは前述の通り暴力的。ただそれで押し通すわけでなく、中盤には知略で列車強盗をやってのけるあたりは違った緊張感があって面白いね。
キモのストーリーに関しては、まさに男のドラマだと思う。個人的にアウトローな生き方には興味はないけれど、終盤の、仲間を取り戻しにメキシコの将軍の所に向かう姿には参った。自分たちが武器を渡したのだから、彼我兵力差は理解しているはず。行けばどうなるか分かってるんだよね。でも行くわけだ。
複数グループの思惑が入り乱れるプロットも良いです。メキシコの将軍は頭悪そうだけど、まあ悪役なのでね。ラストにソーントンが、パイクの遺体から使われなかった拳銃を抜くシーンが、さりげなく印象的。
ワイルド・ワイルド・ウエスト
5
うーん、オープニングの雰囲気や音楽は好きなんだけど・・・。どうもこういうSF西部劇は抵抗があるなぁ。この何というか、全体に漂うB級っぽさが何とも・・・。SF映画だと思っているのが悪いのか?バカ映画として見ればいいのか?ケネス・ブラナー、こんな作品に出ていいのか?
わが教え子、ヒトラー

(2007年制作)
7
第2次大戦末期のドイツ。自信喪失したヒトラーのため、宣伝相ゲッペルスは収容所にいるユダヤ人俳優を演説指導の講師として招き入れる。
ユダヤ人俳優がヒトラーに演説を指導するなんてトンデモな状況が相当変なんだけど、そういった状況をユダヤ人の悲哀として哀しくも滑稽に描いたコメディ作品なんだよね。加えて自信喪失したヒトラーがまた滑稽なんだわ。ヒトラー役のヘルゲ・シュナイダーはあんまり実物には似てないけど、でもこの作品では妙に威厳のない風貌が良い感じではある。
展開はゲッペルスがヒトラー暗殺を画策していたという、これもまた妙なことに。そしてラストはチャップリンの「独裁者」を意識したのかも知れないけど、ずいぶん強引な方向に持っていった感じ。それはそれとして、ヒトラーのパレードコースは爆撃跡をセットの書き割りで隠すとか、ナチスが作り出したニセモノの栄光に皮肉を込めているところは面白い。今のドイツがあの時代振り返り、ヒトラーを笑いの対象として等身大のオッサン(むしろ共感的)に描いているところも興味深いね。
鷲は舞いおりた

(1976年制作)
7
第二次大戦中、チャーチル誘拐のためにイギリスへ潜入したドイツ兵の闘いを描いた戦争冒険モノ。原作はジャック・ヒギンズの同名小説。
原作は未読。フィクションとはいえ、英国内でチャーチルを誘拐してしまおうという突飛な設定にまず惹かれる。どう考えても無謀な作戦だけど、それは劇中でも重々承知の上で事が進むので、強引なのにそのあたりを納得してしまう話の運び方は悪くなかった。主人公のシュタイナー大佐はドイツ兵でも極めて正々堂々とした人物と描かれているのが良いね。
ただ、全体的にはどこか淡泊な印象が強く、せっぱ詰まった感がいまいち伝わってこない。ドイツ兵と発覚するシーンでも、米軍に取り囲まれて覚悟するシーンでも…。これは演出が原因?潜入に恋に戦闘にと展開がせわしないせいもあるか?主人公のシュタイナー大佐もIRAのデブリンも、眼帯のラドル大佐も、みんなキャラクターとして何か背負っている設定があると思うんだけど、そこがやや薄く感じるのも少し物足りないかな。
話のオチは皮肉だが史実から言えば成功はするはずないので、この結末でも致し方ない。むしろ軍人としては真っ当である人物の犬死にが戦争のむなしさを感じさせもするか。そう思うとラストの座礁した魚雷艇の姿もまた印象的なのです。
私ときどきレッサーパンダ

(2022年制作)
6
トロントのチャイナタウンにあるお寺の娘・メイリンは、ある日を境に感情が高ぶるとレッサーパンダに変身する体になってしまう。
ピクサーの映画というよりは、夕方5時くらいに流れるTVアニメのような印象。正直言うと主人公の振る舞いやテンションがあまり合わず、楽しめなかった感じ。変身してしまう境遇を除けば、大体が自業自得で陥る“彼女にとっての苦境”が描かれているだけなので、そもそも主人公に共感できないと楽しむのは難しい。家族内の、母親との衝突はその年頃の親子関係あるあるの話だとは思うものの、そのレベル感と母親が巨大レッサーパンダになってドームを破壊するというレベル感の飛躍があまり溶け合っているようにも思えず、なんというか「レッサーパンダ」という比喩が上手くいっていないようにも感じた。
観ているときはレッサーパンダが明らかに二次性徴の比喩だと思ったのだけど、その割に直接的に生理と勘違いする描写もあったし、「封印すべき」なのかどうかということを問題にしているのも相まって比喩的にはわかりにくくなったかも? というかそもそも一族の秘密を知る母親が真っ先に生理だと勘違いをしているという状況はちょっと取ってつけたようだったな。舞台設定が2002年なのもストーリーの上でなにか意味があったようには思えなかったが…。(監督の子供時代に重ねているだけ?) 昔のピクサーならもうちょっと脚本を練ったんじゃないかなあと思ってしまった。
マンガ的な演出はテンポ感もあって悪くない場面もあったけど、ちょっと多用しすぎてクドさを感じるところもあった。特にカワイイものを見た時に黒目が大きくしてうるませる表情は使いすぎ。
わたしの中のあなた

(2009年制作)
8
白血病の姉ケイト、その姉のドナーになるために試験管ベビーとして生まれた妹アナ。アナは11才になったある日、ドナーとして腎臓を提供することを拒むため、弁護士を雇って両親に訴訟を起こす。
主人公は姉のドナーになるべく操作されて誕生したわけで、物語の序盤で訴訟云々という展開を見ると「臓器移植と生命倫理を問うた社会派ドラマ」かと身構えたけど、いやいやそんなことはなく、至極真っ当な家族の愛情を描いた人間ドラマでした。
“難病だから悲劇”“何かが成就しないから不幸”というのではなく、その状況の中で支え合って今を生きていこうとしている人たちの姿には感銘を受けます。全編の主軸である訴訟の話は、アナの悪意ではなくケイトの願いという真相が明らかになると何ともやるせない気持ちにもなるけど、それでも“どうしたいのか”という本人の気持ちに心打たれたりもします。ストーリーの時間軸はやや前後することはあるけど、混乱する様な作りではなく、むしろ登場人物達の回想的な体になっていて受け入れやすかったかな。
母親役のキャメロン・ディアスは全編に渡って難病の子を持つ母親を好演してました。他の演者では、個人的に判事役のジョーン・キューザックの死んだ娘のことを聞かれて言葉に詰まるシーンが印象に残ってます。悪い人は誰も出てこない映画だね。
私は告白する

(1951年制作)
8
教会に住み込んでいる男の告解により殺人の真実を知りながらも、戒律によってそれを語ることの出来ない神父の姿を描いたヒッチコック監督のサスペンス映画。
主人公であるその神父が状況証拠から容疑者として追いつめられていくという話だけど、自分の保身よりも聖職者としての自分を貫いた立派な主人公でもあります。観客は真実を知っているので、警察や検事の追及に「ホントのことが言えれば…しかしそれは出来ない」という苦悩を共有する。そして、その影で彼に罪を着せようと動く真犯人にイライラする…とまあ、良くできた構成の作品でした。トリック主義ではなく、人間の心情や信仰をサスペンスに仕立て上げた良作だと思います。
ストーリーは単純な殺人の話だけでもなく、枝葉として戦争で離ればなれになった恋人達の話でもあり、容疑者と検事の闘いを描いた裁判モノでもあり、そして宗教を描いた話でもある。これだけ盛りだくさんの話にしておいて、90分ほどでテンポ良く話を纏めてしまうヒッチコック監督の演出はやはりさすがですね。
WATARIDORI
9
あくまでも渡り鳥達の旅を鳥の目線で描いた秀逸なドキュメンタリー。凄いとしか言いようがない。野生の渡り鳥とかなり近距離で併走していくカメラアングルには、最初は目を疑ったね。全くどうやって撮影したのか分からなかった。CGかとも考えたけど、実は鳥たちがより自然に動けるように、卵の頃から人の声や機器の音に慣れさせておいて(※調教ではないので生態は野生のままです)、超軽量航空機が群れの真ん中を飛んでも平然と飛行できるようにしたそうな。製作期間3年、制作費20億円。“鳥達の生き様を伝えたい”というその情熱はひしひしと伝わってくる。なんと100分の上映時間の間、ナレーションの総時間は実に1分足らず。延々と鳥の飛ぶ姿が映される。説明の字幕も最小限。俺は観ていて感動したけど、こういった野生動物たちに興味のない人には全く苦痛な映画かもしれないなあ…。
悪いことしましョ!
6
ブレンダン・フレイザーとエリザベス・ハーレイのコスプレ合戦は楽しいが、コメディとしてはいまいちな感じ。ニヤリとする場面はあったけど、特に爆笑する事はなかった。まぁ、コロンビアの麻薬王とバスケのスター選手は良かったかもしれない。最後まで観てしまえば、結局自分の事だけを考えているようではダメだという事ですな。言いたい事は分かるけど。
ワルキューレ

(2008年制作)
8
1944年のドイツで起きた一部将校らによるヒトラー暗殺未遂事件を、史実に基づいて描いたサスペンスドラマ。
テンポ良く話が進み、飽きさせない作りの作品になっているとは思うんだけど、如何せん“ヒトラーがいつ死ぬか”については周知の事実なわけで、その点がサスペンス映画というジャンルにおいて不利かな。そんなわけで、やはり観ていても最も緊張しているのは映画の中のキャラクター達ばっかりで、観客であるこちら側はそこまで緊張感が上がらなかった。“ヒトラー”という常識を描いている以上は仕方がないけど、これがエンタメ寄りのサスペンスではなく、もうちょっと人間の内面を掘り下げた演出だったら違っていたかもしれない。
主人公のシュタウフェンベルク大佐を演じるのはトム・クルーズ。正直ちょっとイメージが違う気がしなくもないが、まあ無難ではある。それよりも個人的には脇を固める主人公側の俳優陣が豪華で驚いた。恰幅の良くなったケネス・ブラナー。今回はちょっと気弱なビル・ナイ。「ヒトラー 最期の12日間」でも印象深かったクリスチャン・ベルケル。トム・ウィルキンソンにテレンス・スタンプ。いやあ、見応えのある布陣ですわ。案外、彼らの共演が観られただけで満足しちゃっている部分もありますw
ONCE
ダブリンの街角で

(2006年制作)
9
ストリート・ミュージシャンの"男"。ある日、彼のオリジナル曲に足を止め拍手を送る"女"と出会う。
この映画の主人公は"歌"。主人公の二人には役名がない。ただの"guy(男)"と"girl(女)"。歌が二人を出会わせ、そして先に進ませる。心情の吐露は歌をして行われ、主題歌の"Falling Slowly"がビタースイートなエンディングにしみじみと浸らせてくれる。
ミュージカルではないのに、ここまで歌そのものを主役にできるのかと感心するとともに、個人的には安易にくっつかなかったストーリーも良いと思っている。"男"が"女"を誘い海を見に行くシーンで、"女"がチェコ語で"男"の問いに答えるが、そこは訳こそ出ないものの実際には"Miluju tebe(私が愛しているのはあなたよ)"と言っているということを知ると、より一層心が締め付けられちゃうよなあ…。("女"役のイルグロヴァのアドリブだそうですが。)
映画自体はまるでドキュメンタリーの様なカメラ映像だけど、普通にカットを割ってたりするし、たまにクレーンも入るのでドキュメント調にこだわっているわけではない様子。どうも予算がかなり限られていたようだけど、逆にそれが名もなき"男"と"女"の物語に引き込ませる効果を発揮していたかもしれない。
ワンス・アポン
・ア・タイム
・イン・チャイナ
天地黎明

(1991年制作)
6
清朝末期の英雄・黄飛鴻を主人公にしたカンフー史劇。
主演のリー・リンチェイ(ジェット・リー)のアクションは見るものがある。特にクライマックスの梯子上の戦いはすごいと思う…けれど話は2時間強と長い。この手の活劇となればもう少し短く出来たんじゃないかなあ?確かに真面目にドラマをしようという部分も見えるけれど、やはりアクションシーンの比率が多すぎてテンポが相殺されてる気がする。まあ、"カンフーアクションを見る映画"と割り切ればお腹一杯にはなるだろうけれど。
主人公に敵対するのは中国人のヤクザや、中国人をアメリカに送って奴隷化しているアメリカ人。イギリスがあまり悪く描かれないのは返還前の香港という時代かな?
ワンス・アポン
・ア・タイム
・イン・ハリウッド

(2019年制作)
8
かつてテレビ西部劇で主役を張ったリックも今や落ち目。そんなリックは相棒であるスタントマンのクリフと共に、時代の変わり目を迎えた1969年のハリウッドを生き…そして8月がやってくる。
この映画は劇中で二人の人物を救った。一人は架空の人物である主人公のリック・ダルトン。そしてもう一人は言うまでもなく、実在の人物であるシャロン・テート。物語としては基本的にリックが自分の中に俳優としての価値を取り戻していく過程を描いているが、それによって、図らずも史実では惨殺されたシャロン・テートがそもそも事件に巻き込まれることから回避してしまうという「if」へと帰結させる。「イングロリアス・バスターズ」でヒトラーをぶっ殺してしまう歴史改変を見せたタランティーノは、この映画の中でも歴史を改変してシャロン・テートを救ったのだ。タランティーノの思い出にある“かつてのハリウッド”で時間を止めた、あの時代への想いを感じる。
本作の大半はリックとクリフの数日を淡々と切り取ったものだし、シャロンと主人公は劇中でほぼ絡まない。そういう意味で、日常描写を積み重ねた構成はいささか退屈なようにも思う時間はあったのだけれど、それによってキャラクターへの理解が深くなるという部分はある。そしてそれが過ぎたころ…終盤の突如のテンポアップ。「これぞタランティーノ」という様な畳みかけと容赦のなさには笑うしかなかったw そして、そこまでの描写がシャロンという人がいたことと、彼女を救済するための話だったのだと気づいた時、目が潤んでしまった。
この話はシャロン・テート殺害事件を知っている前提で作られているのだけど、自分は“ポランスキーの妻”という名で事件の事を知っている程度だったかな。その事件を前提に観ていれば、運命の8月に彼女が迎える最期を身構えながら観てしまうわけだが、それ自体がミス・リードだったとはねw タランティーノはそんなことなどお構いなしにヒッピーどもを殴り殺し焼き殺すのだ。なんて痛快だろう。タランティーノの愛だよ、これは。
ワンス・アンド・フォーエバー
7
期待していた割には、いまいちな感じがした。戦争の描写は「ブラック・ホーク・ダウン」や「プライベート・ライアン」には及ばないし、この映画の肝である人間ドラマにも「シン・レッド・ライン」ほどの感動はない。この手の戦争映画では、何とか及第点という印象。一番感動したのは、派兵前に家族にキスをして黙って出ていく主人公のシーン。それ以降は他の映画ほどの感動はなかった・・・。バリー・ペッパーはいい感じですが。
ワンダーウーマン

(2017年制作)
8
DCエクステンデッド・ユニバースの4作目。第一次世界大戦下の欧州を舞台に、ワンダーウーマンの誕生と活躍を描く。
ダイアナ(ワンダーウーマン)の出自から、彼女が何故ヒーローとなったのかを描いたファーストエピソードとしてよく出来ていると思う。アレスとの対決というアマゾン族としての使命から始まり、人を知り、愛を知り、世界を救う。こう書くとなんだか安いな。でもトレバー大尉との最後の会話がとても良い。「僕は今日を救う、君は世界を救え。愛している。」 こう言って自己犠牲で散ったトレバー大尉は実際好感の持てるキャラクターだったし、ダイアナの生き方を決定づけるにも説得力があった。同じスパイでも、これでトレバーが007みたいなプレイボーイだったら台無しだが、実直な男だったのが良いねw
欧州戦線で戦う仲間には他に“ウソつき”“ひと殺し”“コソ泥”の3人が登場する。この仲間たち、割とキャラが立っているのにさほど掘り下げられないというか、表面的な感じで終わってしまったのがちょっともったいない。特にユエン・ブレムナー演じるチャーリーなんて、過去のトラウマや狙撃に躊躇するところに何かのドラマがありそうなのに、結局詳細は不明のまま終劇。うーん、そこはどうかなあ。伏線のように見せるなら、もう少し見せ場は欲しかった気はする。(それぞれ戦っているんだ、みたいなフォローのセリフはあるが。)
第一次世界大戦という史実を背景にヒーローという荒唐無稽なものを組み合わせてはいるものの、戦争アクションとヒーローアクションのバランスは絶妙。特に中盤の小さい街の開放戦は最高だった。ラストバトルでは敵のパワーと描写がインフレを起こすが…、まあこれはDCの特徴みたいなもんか。個人的には終盤の超パワーバトルより中盤の対人無双の方が興奮するのです。
ワンダーウーマン

(2020年制作)
6
DCエクステンデッド・ユニバースの9作目。1984年を舞台に、“一つだけ願いをかなえる石”をめぐるワンダーウーマンの活躍を描く。
全体的な印象としては「前作よりもかなり微妙」って感じ。アクションシーンもスパイダーマンみたいなロープアクションが多すぎだし、なんか筋立て自体が雑なんだよね。アバンは無駄に長く、本編が始まっても石の脅威が本格化してカイロでのバトルになるまでにもだいぶ時間を取っているし、ヒールの話もクドイ。この辺はもうちょっとメリハリを付けられそうなもんだけどなあ。そもそも話の流れ上、わざわざカイロに行く必要がよく分からない。砂漠の道路でのバトルを描くためだけだとしたらいい加減な脚本だと思う。いや、どちらかというとトレバーに飛行機を操縦させるための強引な展開といった方が正しいか。真意はともかく、観ている側にそう思わせてしまったらダメだわ。
トレバーを復活させたあげく、結局前作と似たような別れをさせてしまっているところも芸がないよね。願いの代償で大事なものを失うという設定によりダイアナの力が弱体化する部分は、強すぎるワンダーウーマンにピンチを与えるために都合のいい設定だったんだろうけど。結局筋立て全体から漂うご都合主義の臭いを隠せていないのが微妙に感じてしまいました。シャーマン養成講座で石の正体を知るとかに至ってはもう苦笑いですよ。
せっかく1984年という舞台を用意したのに、時代設定もカルチャーギャップ以外でうまく使えている印象はあまりない。冷戦の脅威を軽く扱いすぎというか。そういう過去の出来事を生かした話であれば同じヒーロー映画でも「X-MEN: ファースト・ジェネレーション」や「X-MEN: フューチャー&パスト」の方がよっぽど上手かったなあ。
この映画で一番良いなと思ったのは、最後の最後にアステリア役でTV版のダイアナを演じたリンダ・カーターが登場したシーンでした。
このコーナーは暇ができないと更新できないので、不定期に更新しています。


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