シネつう!
JAPAN STYLE !!

ANEMONE
交響詩篇エウレカセブン
ハイエボリューション
2018年制作

満足度:

2005年に放送されたTVアニメシリーズを設定を新たに劇場版として描く3部作の2作目。
東京に出現した人類の敵“エウレカセブン”。
特殊部隊アシッドの一員であるアネモネは物理攻撃の効かない敵へ魂をダイブさせる。

前作はTV版の再構成だった上に、演出のクセの強さがマイナス方面に働いてしまったけれど、それを反省したのかその様な演出は鳴りを潜め、近未来を舞台にした未知との遭遇戦に近い内容になった。
(2回だけ"PLAY BACK"は起きるが。)
ストーリーもTV版の再構成ではないし、まったく新しいストーリーと言って間違いはない。
ところが、新作な上に一見すると世界観が過去作と地続きでないように見えて、その実はそうでもなさそう?というのがこの作品のひねくれているところだ。

今作の主人公のアネモネはTV版の時から人気がありファンの想いも強いだろうキャラクターだが、今作ではTV版の時の横柄だったりといった気難しい要素はほぼ消されているし、投薬でコントロールされることもない。
純粋に主人公でありヒロインであるといった性格になっていることや、父親からの愛情が重要なファクターになる部分も含めて…もはや別のキャラクターのよう…。
それでもこのアネモネをアネモネとして同一視できるのは、「エウレカセブン」という作品が、これまでの展開から幾度となくパラレルワールドを描いてきたからに他ならないだろう。
同じ名前と姿の人物がまったく違う人間性で登場する、それは過去の劇場版でも行われていた描き方だよね。

結局のところ「ハイエボリューション」と銘打たれた劇場版三部作という存在は、一作目こそかろうじてTV版を再構成したリブートの体ではあったが、この二作目によって完全に再構成ですらなくなった。
では何かというと、今までのパラレルワールドを一つに飲み込んだ完全新作ということになるか。
劇場版や続編、漫画版までを飲み込んで“やり直してきた世界”としてまとめてしまった新作。
(TV版流用の4:3画角のシーンを"エウレカセブン内"の表現として限定したのはいいアイデアだと思う。)

しかしこの作品は何をしたかったのだろうか。
作品群を総括した「∀ガンダム」をしたかったのか、別の可能性に言及した「学園エヴァ」をしたかったのか、それともトライ&エラーの悲劇である「まどか☆マギカ」をしたかったのか。
いずれにせよそういった仕掛けの部分については驚きこそすれ今更オリジナリティは感じないし、シリーズ内でのパラレル設定をズルい方法ではぐらかされている気がしなくもない。

ただ、アネモネとドミニクには幸せであってほしいという気持ちには応えてくれる作品ではあるし、真にエウレカと明るい方向性で分かりあえた内容は良かったと思うけどね。

ひとつ気になるのは、この映画のタイトルに「2」と入っていないところだな…。

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