シネつう!
JAPAN STYLE !!

EUREKA
交響詩篇エウレカセブン
ハイエボリューション
2021年制作

満足度:

2005年に放送されたTVアニメシリーズを設定を新たに劇場版として描く3部作の3作目。
前作から10年後。 スカブコーラルの崩壊によって世界が変わった中で、かつての能力を失ったエウレカは国連の独立部隊で上級戦闘員となっていた。

タイトルにナンバリングはなしということで、また話をリセットしやしないかとハラハラしながら観たものの、今度は直接の10年後の世界ということで話が続いていて一安心。
そしてそこではニルヴァーシュZはシルバーボックスと共に宇宙に打ち上げられ、スカブコーラルから現れた人類「グリーンアース」は本来の地球人類「ブルーアース」と均衡勢力となり、一方で新たに現れた“EUREKA”であるアイリスを巡って勢力間の争奪戦が…。
うーんのっけから情報過多ですぞ(苦笑)

それでも、そのあたりはまだついて行けるか。
結局のところエウレカのパーソナルな自責を表面化させたり決意を促したりするために、自分と似たような境遇の少女を合わせ鏡にして物語を進める構造なので、観客を煙に巻くかのような用語の応酬を見せる割には話はシンプルだとも思う。
そこが端的に現れているのは中盤にかけて行われるロードムービーチックな流れの部分だけど、そこでの交流が結末に話を向かわせるという構造は悪くない。

問題は、やっぱりこのシリーズは何かの引用が強く出すぎていて鼻についてしまうところかな。
TV版が“エヴァ”と“マクロス”と“ファースト・ガンダム”の合いの子だったのだとすれば、本作はそれに“逆襲のシャア”と“ターミネーター2”を加えたような感じ。
(ターミネーター2は確信的にやってるよな…、中盤でデューイが溶鉱炉に沈んでたし…。)
それは果たしてオマージュなのか、それとも監督のコンプレックスの裏返しなのか。
もちろんそうやって作られる面白い作品もあるけれど、とにかくエウレカセブンに関しては“カッコイイと思ったものをどんどん入れてしまえ”という勢いで入れているようにしか見えないので、個人的には良い方向に働いている気がしないんだよね。

まあ、ともかく本作でシリーズは完結したわけです。
ラストは力技でのレントンとの再会によって無理やりハッピーエンドになっている感はあれど、エウレカの物語とすればこれはこれで。
レントンがエウレカを全肯定するような言葉しか発しないところはちょっと怖さもあるけど、まあそうでなければ締まらないんだろうし。
アネモネがポジティブな状況のまま結末に至ったのも嬉しいねえ。

一方でホランドを死なせる必要まであったのかはちょっと疑問。
これ見よがしに“ロボットアニメ”しているスーパー6の6人娘も最後はぞんざいな扱いだったし…。
デューイ・ノヴァクの強キャラ化にもちょっと失笑してしまったなあ。
(能力者のようにべらぼうに強いのに、6回挑んで全敗したあげくに一部はダイジェストとか…かませ扱いがすぎる(苦笑))
色々と気になる部分を上げたらキリがないけど、まあ作りきってくれたこと自体は良かった。
ただ、このエウレカ編でここまで完全新作にするんだったら、レントン編であるハイエボ1作目も完全新作で作り直してあげてよとも思いました。


もどる(カ行)

当サイトは
円柱野郎なる人物が
運営しています
since 2003.02.01