シネつう!
JAPAN STYLE !!

大怪獣ガメラ
1965年制作

満足度:

東宝の「ゴジラ」から遅れること11年、大映が世に送り出した特撮怪獣映画。
北極圏で撃墜された国籍不明機の核爆弾が爆発し、その影響でアトランティスの伝説の怪獣ガメラが数千年の眠りから目覚める。

大映にとっての東宝怪獣映画の向こうを張った企画だということは見たままだけれど、「空飛ぶ巨大な亀」というインパクトは絶大だな。
今や「ガメラ」と言えば「UFOの様に空を飛ぶ」は当たり前の連想だけど、これを最初に思いついた人はいったいどういう発想力を持っているんだかw
特撮もなかなか頑張っているし、面白いと思う。
故意か偶然かはわからないけど、ロケット弾に見立てた火がガメラの甲羅にはじかれる感じが結構好み。

ベースラインのストーリーは、突如現れた巨大怪獣に対する人類側の対策という1作目の「ゴジラ」に似たややシリアス寄りのものかな。
核兵器が出現のきっかけなのは近いものもあるけど、戦災自体のメタファーだったゴジラと比べると、本作は冷戦下の世界とその先にある希望(共通の敵に対して東西が科学の面で協力する)という前向きなメッセージが強い印象。
都合よく開発中だった冷凍爆弾とか、ご都合主義な展開もあるけど…、まあそこはご愛敬。
ラストなんて火星ロケットで宇宙に放逐するという無茶な方法を取ってからに、ガメラにぴったりなサイズのロケットを作っていた人類はきっとものすごく強運なんだろうw

一方でサイドストーリーとして亀好きの少年・俊夫がガメラに救われたり共感したりと、以降の昭和ガメラに顕著な「子供のヒーロー」の片鱗を感じさせる部分もある。
俊夫があまりにもアグレッシブに行動するので、大人の目からすると「ちょっとはおとなしくしろ!」と思ってしまうんだけどね(苦笑)
さすがに石油貨物車両に乗った件は大人ももうちょっと厳しく起こった方が良いのではないか…。
まあ、全体的に「優しさ」で出来ている作品だなあと思った。
子供にも怪獣にも。
ガメラ自体も(宇宙には放り出したけど)殺さなかったわけだしね。

昭和40年の作品なので、今思うと色々と時代を感じる描写もある。
冒頭の北極圏調査の場面で「エスキモー部落」なんて表現も出てくるけど、(悪意がなくても)今だとうるさく言われそうw
他に俊夫の親が「亀を捨ててこい」という場面では、どう見てもミシシッピアカミミガメ(要注意外来生物)を捨てさせているので、ここも時代を感じる描写だと思った。
悪い意味ではなくて、ちょっとしたことでその時代の空気を感じるという意味でね。


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