シネつう!
JAPAN STYLE !!

大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン
1966年制作

満足度:

「大怪獣ガメラ」の大ヒットを受けて半年後に公開されたガメラシリーズの第2作。
ロケットで火星へと送られたガメラは、そのロケットが引責と衝突し再び地球へ戻ってきた。
一方日本では、ニューギニアの奥地から持ち帰った巨大なオパール(実は卵)から新たな怪獣・バルゴンが出現する。

前作の監督だった湯浅憲明は特撮監督に回り、本編は田中重雄が監督。
そのせいか子供向けの怪獣映画というよりは「人間の欲が招いた災難」といった感じのテーマで大人たちのドラマが展開するので、昭和ガメラシリーズ全体からすると少し異質な印象はある。
まあ(ご都合主義的な展開はあれども)怪獣映画と侮らずに真面目に作られている感じはするので、悪い印象はないけどね。
とはいえ冒頭でガメラが黒部ダムを破壊して以降、延々40分近く怪獣が出さずにちょっと間を持たせすぎた感があるのは否定しない。

本作の新怪獣バルゴンはニューギニアという南国生まれなのに“冷凍怪獣”で、しかも雨に弱いという妙な生態の持ち主w
舌から出す冷凍ガスで凍り付く街や戦車などの特撮はなかなかよく出来ているけど、消火器を使ったりコマを延ばして凍結への変化をオーバーラップして自然に見せたりと、工夫の産物ってところが特撮らしくて良いな。
バルゴンのデザイン自体は…、格好よくはないけど愛嬌はあると思う。
ガメラとバルゴンという4本足怪獣同士の対決にしているのは東宝に対抗して意図的にやっているらしいけど、横長のスコープサイズの画面との相性は悪くないと思う。
そういえばゴジラも2作目は大阪城で戦ってたけど、本作でもガメラが大阪城で戦っていたのは何か意識していたのかねえ?

人間ドラマの部分では欲深い男たちが事態を引き起こしていくという筋書きで、憎まれ役の小野寺(藤山浩二)がいい味を出してますな。
ニューギニアの現地民を黒塗りの日本人が演じているのはご愛敬だけど、東宝でもインファント島やファロ島の現地人は黒塗りの日本人なので…まあそういうもんだw
本作のヒロインであるニューギニアの酋長の娘・カレンももちろん日本人(江波杏子)で、「私たちの部落では○○と伝えられています」が決め台詞。
気になるのはカレンの来日から対策本部に参加までの経緯(なんで普通に入って助言してるの?)がすっ飛ばされていることかなあ。
さすがにご都合主義というにもちょっと強引な感じはするけど、尺と展開の都合ってやつですかね。

関西人の自分としては、特撮とはいえ半世紀前の神戸〜大阪〜琵琶湖の風景の中で怪獣が暴れているのは楽しい。
神戸タワーや琵琶湖大橋がそんな前からあったのかという再発見もあるわけだけど、調べてみるとどちらも63年や64年に完成した建築物であるので、その時代から「新名所は怪獣にぶっ潰される」というお約束が成立していることも面白いね。


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