シネつう!
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ガメラ対大悪獣ギロン
1969年制作

満足度:

ガメラシリーズの第5作。
地球にやってきた無人の円盤に乗り込んだ少年たち。 動いた円盤が向かった先は、地球よりも文明が発達した惑星だった。

シリーズが子供向け映画への志向が強くなっていくなかで、本作ではもはや大人の活躍する場面もなくなってしまった感じ。
これまでのシリーズにも出演してた船越英二や夏木章は出ているけど完全に脇役だし、笠原玲子は敵の宇宙人だから“大人”ってわけじゃない。
子供にとって“融通の利かない大人”の象徴として、“子供の言うことを信じない”ステレオタイプな親が設定されている部分は、ターゲットである子供の共感を狙っている感じだよね。
唯一、駐在役の大村崑だけは子供に理解のある人物として良い役回りだったけど、これは多分にメタ的な要素も大きいので…作品内における“大人”というよりは“大村崑”というカメオに近い存在な気はするな。

話は完全に主人公の少年二人とその妹の女の子をメインにして進むのだけど、正直言ってその演技力はなんというか…段取りに見えてしまう場面もあってちょっと微妙(苦笑)。
演技中の視線(カメラの背後をチラチラ見ることが)とか、睡眠薬で眠りこける演技とか、もうちょっとなんか指導した方がよくない?と思うのは厳しいのだろうか。
喜ぶ場面でやけに「バンザーイ」と言わせるセリフもなんだかクドイ感じがするけど、海外放送前提で作られた面もあるのかなあ?(勝手な憶測ですが。)
とはいえ、子供向けに振り切って楽しませようとするスタンスからすると、等身大の少年たちが宇宙船に乗ってほかの星を冒険するような趣のストーリーは、人類が月に降り立った年に公開された作品だと考えればタイムリーな題材なのだろう。
(アポロ11号の月面着陸は本作公開の4カ月後。)

それにしても本作の敵怪獣であるギロンのデザインの突飛さは凄いよね。
頭部が出刃包丁という、一目見て忘れがたいシルエットw
ギロンは基本的に宇宙人に終始操られている設定なので、タイトルにある「大悪獣」という二つ名はちょっと気の毒な感じもするけど、宇宙ギャオスの頭部や四肢をスパスパ切断する残虐さはなかなか強烈。
手裏剣攻撃はさすがにどうかと思う部分もあるけど、ガメラにもだいぶ手傷を負わせたことも考えるとなかなか強い怪獣ではあるな。
そういやガメラが手裏剣を叩き落とすシーンで細長い岩を逆手で刀みたいに持って叩いていたけど、あれは座頭市のパロディですかね?
果てはガメラが鉄棒選手よろしく大車輪をやってのけたり、ゴーゴーダンスを踊ったり(実際には刺さった手裏剣を取ろうと)してたっけ。
きっとその方が子供受けが良かったんだろうけど、どんどん亀から離れて擬人化されていってますな…。

ああ、でも60年代はゴジラもシェーや加山雄三の物真似をしてるから、この時代の怪獣はそういうもんなのかもしれない。


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