シネつう!
JAPAN STYLE !!

宇宙怪獣ガメラ
1980年制作

満足度:

ガメラシリーズの第8作。
侵略のために飛来した宇宙海賊船ザノン号は次々に地球へ怪獣を送り込む。

倒産後の大映が徳間書店参加になってから初のガメラ映画。
前作から9年経ってからの新作だからなのか、それとも経営母体が変わったからなのかはわからないけれど、元々子供向けだったとしても真摯に怪獣映画として作られていたそれまでの7作とは全く異なる作風になってまった昭和ガメラの最終作です。
監督も脚本家も変わってないのになぜだ…。
やっぱり“製作側の意向”ってのは大きいんだろうな…。

「スター・ウォーズ」のスターデストロイヤーっぽい宇宙船の登場シーンから、「スーパーマン」の様なの善玉宇宙人、「戦隊シリーズ」か「仮面ライダー」っぽい雰囲気をまるで隠そうともしない感じが、なにか痛々しい。
果ては「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」までガメラと共演させて、いったなんなんだ…と戸惑うばかりだった…。
許せるのは序盤の「こち亀」までだ。

そもそも“新作”と言っていいのか、“総集編”とするべきなのか、いや“再編集版”というのが正しいのか。
怪獣が戦う特撮シーンは過去作からの流用のみで構成されていて、敵の怪獣に関しては初めて現れたことになっていると思しき様子な割に、“ガメラ”という存在は劇中の少年たちに認知されている上に出版物も出ているとは。
うーん設定がよく分からん。
ヘイワ星の宇宙人と宇宙海賊との確執も薄っぺらく、事ある毎に映されるマッハ文朱率いる3人グループの妙な変身ダンスを見せられて、正直キツいです…(苦笑)
何の工夫もない正面からのダンスカットを何度も映して、いったい何の意味があるねん!

過去作のカットが流用された怪獣の登場する順番は「ギャオス」→「ジグラ」→「バイラス」→「ジャイガー」→「ギロン」→「バルゴン」。
こうやって連続で観るとやっぱり「対バイラス」の特撮が一番いいかなあ。
それも分かってて登場を最後に回したのかもしれないね。
新録の特撮シーンもあるのだけど、ビデオ編集っぽい雑な合成がこれまたキツい。

そういえばガメラの通った足元で「さらばドジラ」という看板が倒れて、茶化したような音が鳴るシーンがあった。
当時ゴジラシリーズは「メカゴジラの逆襲」を最後に休止してから5年目なので、そいう部分も茶化したつもりなのかもしれないけど、それ以前に茶化しても許されるようなクオリティのものを自分が作れてないじゃないか…。
正直あの場面は気分が悪かったな。

とにかく全体的にキツい。
9年ぶりに復活してシリーズにトドメを刺したといっても過言ではないだろう。
エンディングでは「美しい地球を見せてあげる」といってマッハ文朱と少年が空を飛ぶシーンをバックにクレジットが流れるのだけど、「美しい地球」って街の夜景のことだったんだな…。
てっきり雄大な自然とか、宇宙から青い星を見せるのかと思ってた。
徹頭徹尾、自分が観たいものとは感覚がズレていた気がするけど、俺が悪いのだろうか。

エンディングの曲がこれまでになく「ドラえもん」の劇判っぽいです。
(作曲は菊池俊輔だから、まあね。)


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