シネつう!
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ガルム・ウォーズ
2015年制作

満足度:

押井守の原作・脚本・監督で制作された実写ファンタジー映画。
部族間の果てしない戦いが続く星・アンヌン。
8つあった部族もいつしか3つになり、なおもまだ戦いは続く。
そんな中、主人公は部族が捕えた老人に出会う。

押井監督にとってこの映画のテーマは「日本人にファンタジーが作れるのか」という事だったそうだけど、その点では間違いなくファンタジーだったし、世界観もハイ・ファンタジーを標榜するに値する手の込みようですな。
まあその世界観ありきで作られた話を90分の話に押し込めているので、(押井監督の映画にしては)割と駆け足に感じる作品だったような気がするけれど。
確かに中盤には監督らしいダレ間もあるものの、基本的には3章立ての構成も相まって展開はサクサク進んでいった様な印象。
とはいえ、この映画は「ガルム戦記」全体としては明らかに導入部分だけの話で終わっているので、そういう意味で物語は投げっぱなしなんだけどねw
あくまで「ファンタジーを作る」という点においては完成品。

筋立ては…、世界観にさえついていければさほど奇を衒ったものでもないし、どちらかというと素直というか一直線というか…。
登場人物が少ないということもあって話が発散していないというのもあるのかな?
とはいえ、相変わらず“自己存在の疑念”や、“切り離された精神と肉体”や、“神的な超越者”の様なものを持ち込んでくるあたりはいつもの監督だな、と。
(“繰り返される時間”と“立ち食い”はさすがに無かったがw)
「イノセンス」「スカイ・クロラ」「アヴァロン」を想わせる描写もあり、そういう意味では集大成的な感じもしたけどね。

一方で全体に漂う低予算な雰囲気もぬぐえず、その辺は観る側のフィルターも結構求められる感じ。
本作のギリギリCGアニメの様なVFXの質感も、好意的に取ればファンタジーという現実と空想の境界をボカす効果が…などと考えてみたりするけれど、まあ現実的には予算的な部分で可能な限りの質感てところだろうか。 それでもビジュアルイメージやデザインは結構個人的な好みに合うので悪くない。

登場人物は多くないけど、「ファンタジーの世界観には外国人」という監督のこだわりは正しいな。
この世界観とこの話で演者が日本人なら、確かに観る側は冷めてしまうだろう。
外国人だからフィルターがかかるのは確か。
その上で、ハンス・ヘンリクセンなんて映画ファン好みの役者に出てもらえたのは、作品としては良かったなあ。

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