シネつう!
JAPAN STYLE !!

GOEMON
2008年制作

満足度:

架空の世界を舞台に、大泥棒・五右衛門が秀吉を始めとする武将達の思惑によって戦うことになる姿を描いたファンジーアクション。

監督は「CASSHERN」の紀里谷和明。
前作である「CASSHERN」と同様の画作りは特徴的だけど、似た系列であるハリウッドのザック・スナイダー監督の作品などを観た後では、この映画はまだまだ足元にも及ばない。
確かに時代劇ではあまり見ることのない世界観ではあるけど、画が突飛なだけでそれが内容にまでは波及していない感じだからね。

脚本に関して最も気になったのは、霧隠才蔵が秀吉に捕まってまさに処刑されようとする場面。
なぜ釜ゆでの際に「俺は五右衛門だ」と名乗ったのか、初見で理解できなかった。
才蔵は、自分の子供すら秀吉の手中にある今、ここまで来て雇い主の石田三成を庇う理由が分からないし、むしろ「才蔵だ」と名乗った方が光成に一矢報いるじゃないか、と。
五右衛門中心のストーリーで考えれば、この出来事によって才蔵の遺志を継いで五右衛門が行動するわけだけど、才蔵があまりにかませ犬じゃありませんか…。

戦国の世を再構築した世界観は、至極表面的であんまり深いものは感じない。
特に何かを風刺したり暗喩しているわけでもなさそうに見える。
なので史実云々も忘れて画の派手さを楽しむのが正しいのだろう。
だけど個人的にはCGキャラの動きはちょっと甘いと思う。
特に重量感の欠如が致命的かなあ。

映画のクライマックスは関ヶ原の合戦で終わるんだけど、今際の際の五右衛門が、家康に「もう戦の世はやめてくれ」と懇願する。
家康も「そのとおりだな」と感じ入った様な表情を浮かべるわけだけど、家康さん、あんたこの後に大阪冬の陣と夏の陣をやるじゃないか…、とシラけてしまった。
ああ、この映画を史実と比較しちゃあいけないんだけど、ついそんなことを考えてしまって…、ダメだねw


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