福井晴敏の同名小説を原作にしたOVA。
「逆襲のシャア」の３年後、地球連邦を滅ぼすとされる"ラプラスの箱"を巡る物語を描いた第２話。

前作からの続きであるユニコーンとクシャトリヤの戦いもそこそこに、話はユニコーンガンダムを回収したネェル・アーガマに"袖付き"のフル・フロンタルが迫る場面へ。
ここからが宇宙世紀の公式二次創作の真骨頂ｗ
フル・フロンタルのシャアを思わせる台詞が多数あり、わざわざ「（後続の）３倍の速度」という報告を入れたり、シナンジュにユニコーンを蹴らせたりと、ファースト世代ならニヤニヤしっぱなしでしょう。
あまりにも狙いがワザとらしいとも言えなくもないけれど、俺としてはこの遊び心（ファンサービス）は好きです。

それでもただのパロディ作品にならないのは、あくまでシリアスに進行するというところで話を支えているからかな。
ミネバを人質にとったネェル・アーガマに対して、主導権を見事に奪ってしまうフル・フロンタルの弁舌の妙や、ミネバの堂々とした振る舞いも見事。
駆け引きという緊張感の演出が上手い。

後半は"袖付き"の根拠地であるパラオに舞台を移し、バナージとフル・フロンタルの宇宙移民に関する会話がメインになる。
この辺は会話劇なので盛り上がりは少しトーンダウンするものの、UCの世界観を語る上では外せないテーマでもあり、最低限の説明としてはここに入ってくるのは仕方がないか。
その後のバナージとマリーダとの会話、「移民にとってよって立つものが必要だった」というくだりもそうだよね。
これ以上削るとダメだろうし、これ以上長くても退屈だろうし、脚本は苦労してそう。
この辺で時間を割いているので、パラオの場面としては原作でもっと入っていたギルボア一家との交流が、かなりカットされているのが少し残念だった。
次のエピソードで効いてくる前振りのようなものだったのに、これがあっさりしてしまうと印象が変わるんじゃ…？
などと要らぬ心配もするｗ

---