シネつう!
JAPAN STYLE !!

機動戦士ガンダムNT
2018年制作

満足度:

OVA「機動戦士ガンダムUC」の後日談を描いた劇場アニメ。
かつてコロニー落としを予見した“奇蹟の子供たち”の一人である主人公・ヨナ。
成長した彼は地球連邦軍の少尉としてラプラス事変後に地球圏に現れたRX-0 3号機“フェネクス”の捕獲作戦「不死鳥狩り」に参加するが…。

ベースとなったスピンオフ小説の「不死鳥狩り」は読んだはずなんだけど、内容はあまり覚えていない。
ということでこの映画と原作を比べることはできないんだけど、劇場版映画としてはこの尺にかなりいろんなことを詰め込んだなあ…という印象。
「ニュータイプとは」というガンダムの宇宙世紀を語る上では外せない要素に真っ向から挑んだ話だけど、大きく観ると「なんかまた同じことを繰り返してる…」とも思う一方、個々の要素では動機に対して感情の入り乱れ方がなかなか面白い。
目的と動機と行動を、リタ、ミシェル、ヨナという3人のキャラに振り分けて絡ませるところなど、話の構造として考えているなあとは思うね。
敵のゾルタンの破綻っぷりも強化人間っぽい勢いがあっていいよ。

ストーリーとしては特に後半にミシェルの動機がハッキリしたあたりからは勢いで話を楽しめた部分もあるのだけど、ただその背景を語らなければならない構成上…過去と現在の場面の往復が頻繁なこともあって前半では少々しんどかったところもあるかな。
話に厚みを持たせるような状況を作りこんでいるのは分かるものの、それによって説明的なセリフが気になるところもあり、個人的には素直にハマれなかったというのは正直なところ。
描きたいことは分かるし、もっと時間をかけて観せてくれれば違ったのかもしれないけど、90分では「詰め込んだなあ」という印象の方が勝ってしまった(苦笑)
「UC」を初めて観た時のワクワク感や、「THE ORIGIN」を観た時の端的な物語への感心具合に比べると、自分の中ではどうしても分が悪いなあ。

キャラクターデザインは「UC」から地続きのイメージだけど、OVAの前作よりも劇場版の本作の方がどうも線が簡単というか、描きこみが少ない?などと感じるのはちょっと微妙。
(マーサ・ビストなんて別人かと思った。)
さすがにモビルスーツの描写は劇場版クオリティだけれど、でもモビルスーツ以外のメカ(車系とか)は何かやっぱり簡単な感じだよね。
そういえば本作ではネオジオングが大暴れしていたけど、あまりの暴れっぷりに「これは『UC』7章で大暴れできなかったうっ憤を晴らしなんだろうか?」とw
いろんな意味で「UC」でやりのこした事を本作でやったのだろうけど、なんだか後日談というか作品自体が“UCの亡霊”みたいなもんだなと思ってしまいました。


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