シネつう!
JAPAN STYLE !!

ケルベロス 地獄の番犬
1991年制作

満足度:

1987年に制作された「赤い眼鏡」の前日譚を描いた押井守の実写映画。
首都警の叛乱から3年後、主人公の元特機隊(ケルベロス)である乾は、一人国外逃亡した都々目紅一を追って台湾に向かう。

「赤い眼鏡」の様なアニメの論法は控えめになり、長回しや風景描写などの情景を表現する方に傾いた作品になっている。
舞台となった台湾はそういう意味で昭和の頃のような日本の雰囲気があり、時代に取り残され滅んだ首都警特機隊と合わせて日本から無くなっていった、なくなっていくものという郷愁を感じる部分ではあるかな。
しかしその情景描写に少し拘りすぎているような…。
カメラの一歩引いた目線や、ひたすら映される情景の(押井監督の好むところであるダレ間理論的な)間延びしたカットは、ともすれば退屈と感じなくもない。

本作の主人公は乾(藤木義勝)なので都々目(千葉繁)は中盤までほとんど出てこないのだけど、出てきたとたんに起きる二人(演じる藤木義勝と千葉繁)の争いも撮り方もまたくどかったw
ロングで延々と二人のをバトルを撮っているのだけど、結構跳んだりはねたり頑張っている取っ組み合いの割には迫力が…。
あと、後半の取っ組み合いは千葉繁がバク転まで繰り出すものだったのに、これまた固定視点で迫力的には、うーん。
それにしてもこの二人、ものすごく身長差があるね。

ある一面ですごく押井監督らしい作品だとは思うけど、画にこだわりすぎて話のテンポがさらに延びてしまったので、個人的には今ひとつだったかなあ。


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