シネつう!
JAPAN STYLE !!

崖の上のポニョ
2008年制作

満足度:

宮崎駿の4年ぶりの作品は「人魚姫」をモチーフにしたファンタジー。

ハッキリ言って絵本の世界。
手書きにこだわった絵の感じもそうだし、子供が主人公で、突然平然と魔法の世界が現実に割り込んでいるストーリーもそう。
思えばポニョみたいな魚がいたら、リアルには不気味でしょw
でも、それがカワイイとして成立する世界なわけだね。

そう思えば楽しいと思えなくもないけど、やはり大人の視線からすると引っかかる部分は色々とある。
細かく語られない物語の背景にしても、童話の割に教訓めいたモノがない展開にしてもね。
なので個人的には、話は物足りなかった。
ストーリー的な感想で言えば「宮崎駿の子供への幻想を描いたファンタジーだな、こりゃ」です。

そうそう、ポニョの父フジモトは最初は彼女を「ブリュンヒルデ」と呼んでいたのに、いつの間にかポニョと呼んでいるし、そのあたりの大雑把さも子供のための話だからってところなんだろうか。
こっちからするとポニョがブリュンヒルデなら宗介はジークフリートか、なるほどなあ…とか思うんだけど、非人間と人間の…以上の意味は無いみたい。
あ、でもポニョ(ブリュンヒルデ)が津波(巨大魚)と共にやってくる場面で、明らかに「ヴァルキューレの騎行」を意識した曲調になるってところにはニヤリとさせられるw

津波の場面と言えば、その絵のすさまじさには舌を巻きます。
巨大魚と津波のイメージを重ねた海の表現ってのは…すごい。
それを描ききってしまう力があるというのが、歳をとってもやはり一流の人なんだなと思うところではある。

海の表現にしても、非常に古典的な少ない線で描いているにもかかわらず、どんなに緻密なCGの海よりも生々しく見えるし、「これがアニメ表現の力だ!」と言わんばかりの迫力には、ただただ圧倒されるばかり。
絵で描く“生きた海”の極致がここにはある気がしますわ。

関係ないけど、エンドクレジットが今までになく短かったので、そっちにも驚いてしまいました。


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