シネつう!
JAPAN STYLE !!

幻魔大戦
1983年制作

満足度:

宇宙に存在する構成系の半分を消滅させた破壊者“幻魔”。
その幻魔の魔の手が地球に伸びようとした時、宇宙意志によってその幻魔の存在を知った地球のサイオニクサーは生き残りをかけた戦いに立ち上がる。

石森章太郎の漫画も、平井和正の小説も未読。
未完だという原作に対してこの映画は敵との決着まで描かれているので、そういう意味では別物の単独作品として取れるかもしれない。
基本的な世界観としては、邪悪な存在による地球滅亡の危機や目に見える荒廃、そしてそれに立ち向かう超能力者達や敵に対抗出来うる“愛”という力…といった終末的・宗教的な臭いのするものになってる。
個人的に受ける印象として宗教的な雰囲気の善し悪しは別としても、この映画に関してはその宇宙規模の話の割に地球の一地域というせせこましい場所でのバトルに終始している気がして、そういう意味で物足りないかな。

そしてそれ以上に脚本のスピード感が感じられないのも物足りなさを増幅させている。
上映時間のほとんどが超能力者達が集結するところまでで費やされているし、主人公の姉がらみの描写も話を止めがち。
もっとテンポ良くいけばまた印象も違っただろうに、勿体ない感じです。

しかし話はそうとしても、作画に関してはかなり力の入った描写が多く、角川映画のアニメ第1回作品としての気合いは感じるところ。
特に終盤の金田伊功の仕事はさすが。
複雑怪奇な火焔龍の動きは、まさに1コマ打ちの大洪水でもう目から鱗状態です!
キャラデザインは大友克洋で、話が超能力だというのはそのまま後年の「AKIRA」を思い浮かべもするけど、そういう意味では話のイメージにあった画だと言えるのかもしれない。
まあそれは石森先生の原作を知らないから言えるのかもしれないけどね。
大友克洋はこの数年前に超能力漫画「童夢」を発表しているので、なにかと超能力モノに縁のある感じで面白い。

そんな感じで動画や画には観るところを感じる作品だったけど、やはり話の進め方が全体的に退屈だったのがいただけない。
何だか勿体ない、といった印象だけが残る作品でした。

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