シネつう!
JAPAN STYLE !!

かがみの孤城
2022年制作

満足度:

辻村深月の同名小説を原作にした劇場アニメ。
いじめが原因で不登校となった主人公・こころは五月のある日に鏡の中へ吸い込まれる。
そこは絶海の孤城だったが、そこで狼面をつけた少女・オオカミ様から「先に来た6人の少年少女とともに願いを叶えることができる鍵を探せ」と告げられる。

不登校になった主人公にとっての現実の苦しさと、その逆に心の休まる居場所となった城。
鏡の中に吸い込まれるというファンタジーな世界観が唐突ではあるものの、テンポが良いので気にならない。
主人公の心情がとてもよく描かれているし、その世界が一体何の心象風景であるのかも含めて話の中で明らかになっていく過程がよくできている。
その世界に呼ばれた少年少女たちが何者なのか、何かの共通点があるのか、オオカミ様とは何者なのか。
ややミステリー調の展開で話を引っ張っていくのは上手いなあ。

オオカミ様が少年少女たちを「赤ずきん」と呼ぶのはまさにブラフだったわけだけれど、謎解きの鍵が「狼と七匹の子山羊」とは終盤まで思い至らなかった。
(というか俺自身が「七匹の子山羊」というグリム童話の存在をすっかり忘れていた(苦笑))
どちらかと言うとこれみよがしな"オルゴール"の存在の方が謎解きの鍵かと思っていたけれど、そっちは「トロイメライ(夢)」というその城の世界観の説明の方だったとは、そのあたりも含めてよく出来ているなあと思った次第。

最大の仕掛けは少年少女たちが「いつの誰なのか」というところか。
少年少女たちの一人であるアキの正体には膝を叩いたね。
「きたじま先生って親身になってくれていい先生だなあ」と思っていたけれどまさかそこにつながるとは…。
不登校の問題やそこに至る苦しい心情を描いてはいるけれど、話としては自分の居場所や友情を見つける部分に優しさが溢れていて、特に観賞後感の心地よい作品だと思いました。

ところで唐突な名探偵コナンネタは…どうだろう。
中の人つながりのネタなのはそうだとしても、この作風にあってはちょっと浮いてない?w


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