自殺に失敗した売れない役者、記憶を失った裏稼業の男、そして婚活中の女編集長。
彼ら３人がひょんな事から関わりあう姿を描いたコメディ映画。

ストーリーとしてはある人物の人生が入れ替わることで起きる騒動…というオーソドックスなネタなのに、内田けんじ監督は画面に映る仕掛けで観客を見事に楽しませてくれる。
ちょっとしたことが伏線になっていたり、観客をミスディレクションする仕掛けは内田作品の特徴であり最大の魅力ですね。
本作では、事情を知る者と知らぬ者の掛け合いといったシチュエーションコメディの様相もあって、そこがまたジワジワくるｗ

主演の３人、堺雅人も香川照之も広末涼子も役にハマってました。
まあ堺雅人も香川照之も達者な人なのでどんなキャラクターでも驚きはしないけど、広末涼子は微妙に常識からズレてる感じが彼女にしては珍しいキャラだったような。
でもどの人物もキャラ立ちしているし、描く側がきちんと描こうとしているのが伝わってきて好印象。
三者の人生がクロスしていく瞬間を切り取ったような話なのに、その状況を描いていく２時間の中で、ちゃんと彼らのこれまでの人生を匂わせてる。
そういうところを誤魔化さないから、多少ふざけた話であるのに説得力があるんだろうなあ。
「納得して生きている奴なんていない」っていう台詞が良いよね。

決して派手ではない小規模な作品だけど、肩ひじ張らないこういう作品が邦画の面白い部分だと思う。

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