白土三平の同名コミックから「スガルの島」のエピソードを映画化した崔洋一監督の実写作品。

相変わらず松山ケンイチはマンガキャラになりきっているなあと感心しつつも、原作を読んだ者としては微妙な世界観や設定の変更に違和感を感じて仕方なかったかな。
ストーリーラインはほぼ原作通りながら、武士の追っ手から救ってくれたカムイを、半兵衛が船の上から突き落としたあげく、半死半生のカムイをその半兵衛が救って…、何でそんな改変が必要なのか理解できなかった。
原作の流れの方が自然なんだけどなあ…。
これじゃあ半兵衛が狂人に見えちゃうよね。
そういう意味では、スガルの娘でカムイに好意を寄せるサヤカにしても、どうも無意味にヒステリックな演出が多くてイヤな感じだったなあ。
怒鳴ったり叫んだりすることが感情の表現とイコールでないと思うんだけども。

そして追忍の疑心を常に抱えるスガルにしても、追忍の目くらましに渡り衆を率いている不動にしても、どうも本気度や緊迫感が迫ってこない。
不動の最期も、原作でカムイが行うような残酷な処刑方法ではないし（作品コード上の問題だと思うけど）、なんだかさじ加減が物足りないんだよね。
妙に押し込められた作品のテンポも相まって、どうも最後まで話にのれませんでした。

話がそうならアクションはどうかと言えば、これがまた一昔前のレベルのVFXで浮きまくり。
悪い意味で重力を感じさせない忍者の跳躍の数々には失笑してしまいました。
霞斬りはまだ見せ方に工夫を感じるけど、飯綱落としは少々安直でした。

ちなみに、俺が一番気になったのが漁村の描写。
白い砂浜、青い海、照りつける太陽はどこからどう見ても南国（のリゾート…）。
俺が原作を読んでいイメージしていた“瀬戸内の漁村”とは大違いだったのが、最もこの作品でガッカリしたところかもしれない。

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