シネつう!
JAPAN STYLE !!

川の底からこんにちは
2009年制作

満足度:

東京に出てきて5年、色々上手くいかないなりにも生活をしている主人公・佐和子。
事情があって長らく実家に帰っていなかったが、父が病に倒れたため田舎に戻り、父の経営するしじみパック工場に勤務することになるが…。

冒頭の派遣OL3人の会話のアンニュイな感じ。
付き合っている相手は中途半端にエコを語るバツイチ子持ち。
人生のドン詰まりで何を言われても大体「しょうがない」で済ます主人公。
何ともネガティブで、言動もどこか残念な感じの主人公を満島ひかりは好演してますな。

この映画は、そんな主人公が田舎に戻って自分の居場所を見つける話であるのだけど、そこに至る経緯が面白い。
何かの才能に目覚めるわけではなく、あくまで「自分は中の下のダメ女」だと最後まで変わらない。
そこにあるのは開き直り…!
「どうせ中の下でしょうがないんだから、頑張るしかないじゃんよ!」とばかりに、その境遇をすべて飲み込んで開き直ってしまうパワーたるや。
その発奮表現の一つであるパック工場社歌の新バージョンの吹っ切れ感が面白いこと!
「倒せ!倒せ!政府ぅ!」ってw
ここは最高に笑えたなあ。

この映画全体的にそうなんだけど、ネガティブな境遇というシリアスの中にあっても、そこに差し挟んでくるユーモアさが実に良い。
最初はギスギスしていたキャラの濃いオバちゃんたちとの会話は、次第に打ち解けて面白くなってくる場面に温か味もあるし。
(繰り返される「あたらしいお母さん」ネタも良い。)
ネガティブだし人生に否定的であっても、どこか「頑張ろう」と思わせてくる不思議な前向きさがこの映画の最大の魅力。
ストーリーこそダメなりの開き直りで終始するけど、人糞肥料から花やらデカいスイカやらが取れるシーンを見ると、もう少し前向きなメッセージも感じなくもない。

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