シネつう!
JAPAN STYLE !!

風の中の子供
1937年制作

満足度:

昭和10年代。
成績優秀な兄と、腕白な弟の小学生兄弟の姿を通して、子供たちの世界を描いた作品。

70年前の時代を感じさせる部分と言えば、ベルリンオリンピックの「前畑頑張れ!」の実況をまねしたり、ターザンのまねをしながら少年たちが遊ぶ部分だろうか。
でも、ごっこ遊びという子供らしさの根本はいつの世も変わらないもんだと、懐かしさを感じました。
子役たちは、演技としては自然ではないけれど、子供らしさという意味では自然な感じがして好感。
多少聞き取りにくい部分(フィルムの状態にもよる)もあるけど、当時の子供たちの姿の記録としても興味深い。

話としては、主人公兄弟の父親が私文書偽造の容疑で逮捕され、弟は叔父の家に預けられるという展開が。
そこでもタライに乗って川を下ったり曲馬団に潜り込んだりと腕白な弟。
手におえないと家に帰されはするものの、基本的に「子供なんだから」という周りの大人の視線が温かくていいですね。
シリアスな部分では、子供であるがゆえに素直に警察を家に連れてきてしまったり、「子供には犬の世話はできぬ」と住み込みを拒否されたりという部分で、図らずも親の困惑を感じ取る弟の心情も伝わってきます。

世相的には日中戦争が勃発した年でもあり、そう思うとそういう影を感じないこういう作品が撮れたのは良かったんじゃないかな。

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