シネつう!
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家族はつらいよ2
2017年制作

満足度:

家族3世代のバタバタを描いた喜劇映画の2作目。
車の運転がおぼつかなくなり、家族から免許の返上を求められる周造だったが…。

「東京家族」と「家族はつらいよ」は役者は同じでも別作品だったが、「家族はつらいよ」と本作は完全に続編。
なのに若干設定が違ったり(次女夫婦に娘がいる)、前作にも出ていた役者が別の人物を演じていたり(小林稔侍、本作後半のキーマン)、フォーマット以外の自由な感じが昔の映画みたいw
考えてみれば「男はつらいよ」だって、サブキャラは一人の役者が映画毎に違う役をやってたりしてたもんな。

作品の本質としては細かい設定のつじつま合わせではなく現代家族を喜劇としてどう切り取るかであって、そこは山田洋次監督、かつての大船調を感じさせる様な喜劇演出の安心感はいまだ健在。
老人の運転問題と無縁社会といったシリアスなテーマを取り上げてはいても、そのシリアスを喜劇に転化してしまうセンスはさすがだと思うし、それに応える役者陣もだと思う。
また、この映画は平田家全員が主人公だけれど、橋爪功演じる周造の雰囲気はどこか「とらや」の喧嘩を思わせるような…「それを言っちゃあおしまいよ」的な家族ゲンカのスタイルでいい感じに面白かったな。
やっぱり役者のアンサンブルが出来ているからこそ、喜劇として面白いのだと思う。

前半が免許返上問題、後半が無縁社会の問題。
劇中でテーマは二分しているけど、その2部構成的なつくり自体は「男はつらいよ」と似た感じ。
いずれにしても老人問題の話であるというのは、監督自身の年齢が影響しているんだろうなあ…とは感じさせるが、提起はしても解決はしていないのであくまでネタにしかなっていないのも事実。
それに纏まりの点で言うと、次女の娘のピアノの話は序盤に提起しただけで本編には関係なかったし、思わせぶりなSNS的な演出もストーリー上はほとんど意味をなしていない。
そういうチグハグな感じはちょっと引っかかったかなあ。
正直言うと、夏にノルウェーへオーロラを見にいくってのも…実はシーズン外れとかみたいなオチがあるのかと思ってたんだけど…何にもなかった(苦笑)
でも前述のとおりメインは登場人物たちの掛け合いだもんね。
ゲスト出演では刑事役の劇団ひとりが良いところを持って行ったな。
特に橋爪功とのやり取り…あれアドリブも入ってるよね?w

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