シネつう!
JAPAN STYLE !!

決算!忠臣蔵
2019年制作

満足度:

「忠臣蔵」を題材に、赤穂藩御取り潰しから吉良邸討ち入りまでの金策模様を描いた時代劇。

有名すぎる赤穂浪士の物語にあって、金のやりくりに困窮する様子をコメディチックに描くという着眼点が面白い。
ほとんどの登場人物が関西弁なので、繰り返される“前振り”からの“オチ”や“ツッコミ”の空気に合っていたのも良かった。
予告編からするともっとすっとぼけたコメディになっているかとも思いきや、時代劇としては意外に地に足ついたものにはなっていた印象かな。
劇判は時代劇っぽくないけどねw(この作品の場合はアリ)

観客としては当時の金銭感覚を現代に置き換える必要があり、その辺は画面上に出てくる金額表示でテンポよく理解させる工夫もされてたね。
京〜江戸間を往復する奴らを見て、次第に“金額そのもの”に感じられてくるあたりは感覚的に面白かった。
討ち入り直前の残り予算の上がり下がりは「鷹の爪団かよ」と思わなくもなかったけど、劇中の誰もが命日と思い込んでいた討ち入り日の前倒しによって、状況(予算)の大逆転が成されるという展開は考えたなあと思った次第。

籠城決戦か御家再興か、討ち入りか取りやめか、家臣からの突き上げと公儀の沙汰との間に挟まれた大石内蔵助の中間管理職っぽさに悲哀を感じてしまうが、これは…もしかして俺が歳をとったからか(苦笑)。
金遣いの荒い現場に困り果てる経理という図式も、まあ会社のそれと同じだよね。
そういう部分で何やら共感しやすい要素があるのも、この話を面白くとらえられた一因だと思う。
ただ「忠臣蔵」と聞いて想像するクライマックスの討ち入りは作中では描かれないので、ちょっと肩透かし感があるのも事実だけど、作品テーマからすると討ち入りに至るまでが重要なのでこの描き方で良いのだろう。

主役の大石内蔵助を演じるのは堤真一。
ほんまもんの関西弁なので安心感はあります。
助演の岡村隆史が勘定方の矢頭長助を演じているけど、この二人の間柄がなかなか良かった。
矢頭は大石内蔵助に決意させる重要な役どころだけど、岡村はハマってたと思います。


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