シネつう!
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傷物語 U 熱血篇
2016年制作

満足度:

西尾維新の小説「物語シリーズ」から、同名の「傷物語」をアニメ化した劇場版3部作の2作目。
伝説の吸血鬼・キスショットの眷属となってしまった主人公・阿良々木暦は、人間に戻るためにキスショットの手足を奪った3人のヴァンパイア・ハンターと対決する。

どうにも間延びした感のあった前作から一変。
物語シリーズらしい掛け合いとパロディの入り混じった会話劇が楽しい。
3人のヴァンパイア・ハンターとの対決を軸にした構成も70分弱の間でテンポよく展開し、素直に面白いと思った。
個人的には暦の驚いた顔が一瞬「童夢」の爺さんになったところがツボw

演出的には前作と同じくモノローグを排した形になっているし、CG背景に2Dキャラを配置しているのも同じ。
でも前作より小気味良く感じられるのは、やはり会話や展開のスピード感の違いなんだろうな。
個人的な印象ではグッとTV版の速度感に近づいた様に感じたし、そのせいかモノローグが無いことも気にならなくなっていた。
まあ今作はハデなバトルシーンが多いので、余計にそう感じるのかもしれないが。

あとはキャラクターの動きが良い感じですね。
特に羽川の細かい動作が…すばらしい。
スカートをたくし上げるところとか、終盤の叡考塾の裏手の原っぱで会話するシーンとか、明らかにロトスコープで描いてんじゃないかって感じだったけど、この辺の動きが生々しくてすごく良かったですよw
暦の腕が千切れたり、羽川の臓物が飛び出したりの描写もしっかり描いてたね。
地上波なら謎の光や陰で隠されそうなところだけど、しっかり見せられるのは劇場版ならではかな。

そうそう、所々ワザと妙なSE(効果音)を入れているのがどうにも可笑しくて
最初に暦のちぎれた腕が飛んで行った時、マジでピューンという間の抜けた音が鳴った時は吹きそうになりましたw
このセンス、なかなかやりおるわい。

原作は既読なので、ストーリーの展開自体に驚きはしないけど、ストーリーを知ってても羽川のヒロイン力の強さには正直言って参ってしまいそうです。
こんなにいやらしいのにいやらしくないキャラは生身の人間では成立しないだろうなあ。
明らかに空想の産物と言い切れるくらいに超ヒロインですわ。
だからこそ…、なぜ暦は羽川を選ばないのか…!!
今は関係ないですね。

前作の間延び感でどうなることかと思ったけど、本作で作品世界の魅力を上手く描いて見えてきたので、このまま次回の完結編がどうなるか楽しみなってきました。
良い感じです。


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