新海誠監督の中編アニメーション映画。
靴職人を目指す高校生の主人公・秋月孝雄。
彼は雨の朝になると学校をサボりある公園に出かけていたが、ある日そこでビールを片手に佇む雪野由香里という女性と出会う。

前作の「星を追う子ども」は実にジブリクサい作品でガッカリしたけれど、本作は「秒速５センチメートル」以前の新海誠らしさが帰ってきたか。
ただ「ほしのこえ」や「秒速〜」などと違うのは、断絶した別れのような喪失感で終わるのではなく、この２人にその先があるかもしれないという光が鑑賞後感として残っているところ。
男女の出会いと別れという、しかも青春時代という照れくさい距離感や心情をモノローグで描くところは変わらないけれど、この前向きさはいい感じ。

精緻な背景美術はさらに磨きがかかっていて、もう実写で良いじゃないかと思いつつも、でも実写ではできない雰囲気を感じたりもする。
緑の瑞々しさと光の感じとかなあ。

まあ作劇としては多少出来過ぎな部分もなくはない。
特に同じ高校の生徒と教師だったとかは力技な気もするけれど、でも45分程度の中編と思えばこのくらいでないと進行が遅れちゃうかな？
にしてもこういう照れくさい話を描かせたら、新海誠の演出はバッチリはまりますな。
個人的にはこの監督はこの路線で良いんだと思ってます。

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