シネつう!
JAPAN STYLE !!

劇場版 空の境界
第一章 俯瞰風景
2007年制作

満足度:

伝奇小説系ライトノベルが原作のアニメーション映画。
1年半にかけて7章(7作品)を連続公開した2000年代では珍しい興行形式の作品。
その第一章。

原作を未読なので、観賞後ですらこの作品の世界観がまだハッキリ分からない部分もあるけど、原作ファンには当然の世界として描かれているのだろう。
そういう意味では観る者を選ぶのかもしれないが、最初から7章あると分かって観ているので、最後まで観てちゃんと理解できれば問題ない。
むしろそういった不可思議な世界観が、そのビジュアルと相まって良い雰囲気になっているかな。

この章では、あるビルでの連続飛び降り自殺に関する話が展開する。
まず、団地に自殺に超能力(?)だと大友克洋の「童夢」を思い出したりもしたけど、「浮遊」か「飛行」かという命題を除けばどこかで見た設定も多く、あるジャンルのパターンを再構築した作品という臭いはある。
けど確固とした世界観がある様で、この先それを知りたいと思わせる魅力もある。
まあ、全体に妙に衒学的で長ったらしい台詞は、一見さんを翻弄して分かりにくいだけ…な気もするが。
それも作品の雰囲気の内なんでしょうかね。

アニメーションの質としてはなかなか高く、背景の書き込みや作画にも目を見張るものがあるし、アクションシーンの動画も破綻がない。
50分という中編作品ながら劇場版としての気合いが十分伝わってくるのが良かったです。
あと、梶浦由記の劇判やエンディングテーマが作風にマッチしていて良い。
下手にタイアップをせず、エンドクレジットを含めて余韻に浸ることも含めて作られているのは好印象。

世界観を把握した後に見れば、もう少し作風を楽しめる作品なのではないかな、と思った。

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