シネつう!
JAPAN STYLE !!

劇場版 空の境界
未来福音
2013年制作

満足度:

「空の境界」シリーズのサイドストーリーや後日談を纏めた伝奇小説の劇場版。

メインストーリーとしては全七章、終章を入れても8作品で終わっているので、この作品で描かれる5つのストーリーは完全にサイドストーリーなんだけど、久々に目にした「空の境界」の世界観…空気感はやはり独特な魅力があると思いますわ。
5つの内、3つのサイドストーリー「1998年8月」「1998年10月」「1998年12月」は完全に短編で、両儀式と黒桐幹也との猫にまつわる話、そして「俯瞰風景」や「痛覚残留」の後日談では浅上藤乃も再登場。
ちょっとした裏話ではあるけれどキャラクターを含めたフォローとして良い感じです。

この作品の核となる2本「未来福音」と「未来福音・序」は、それぞれメインストーリーの時間軸と重なる1998年と、その12年後の2010年の物語。
こちらはサイドというよりも後日談としての存在感があって、特に「未来福音・序」のラストに登場する識の姿は、このシリーズを通して描かれていた式と識の関係性や彼の選択を考えると、感慨深いものになったと思う。

今作のキーワードである未来視にまつわる話も、「予測」「測定」「予言」の定義の違いが橙子の口から語られ、「浮遊」と「飛行」や、「殺人」と「殺戮」といったこれまでの章と同様な衒学的香りが漂ってますな。
ああいかにも「空の境界」だw
その「予測」「測定」「予言」の未来視に翻弄された3人のキャラクターが主となって話を進めるわけだけど、両儀や黒桐と多くを絡む「未来福音」と違って、ほぼ新キャラのみで語られる「未来福音・序」が印象深い。

両儀たちの未来を感じさせつつ、主題を語るのは主に新キャラである瓶倉光溜だけど、それでもそこにその世界の時間の積み重ねを感じられるんだよなあ。
そして彼らのこの先を観てみたいと思う様な、そんな前向きさを感じるところでもあります。


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