黒澤明の「隠し砦の三悪人」をリメイクした時代劇アクション作品。

俺がオリジナル映画の方で魅力に感じた部分の８割方が消し飛んでいたので、もはやプロットをなぞっただけの別物という解釈にしかならないけど、アクションモノとして成立はしている。
ただ、安易に主人公と姫の恋心を描いたり、敵が悪逆非道であったり、総じてステレオタイプ過ぎて話の深みというものを感じない。
こうも薄っぺらい話では、やはりオリジナルの足元にも及ばないというのが正直な感想。

中盤の関所越え当たりまではオリジナルの展開に沿っているけど、かなりテンポは速い。
展開のテンポが上がった分には良いのだけど、細かいことを言い出すとそれによる一部の設定不備が現れたりと、改変した事による破綻も気になるところか。
中盤以降はずいぶん細かく手を入れて話を変えたけどねえ…、上手くいってるとは思いにくい。
それもこれもやはり俺自身にオリジナルに対する思い入れがあるからなんだろうけど、それを知らなければ娯楽作としては軽い気持ちで観られるのだろうとは思うよ。

相変わらず“爆発＝カタルシス”と考えている節のある樋口監督の趣味はどうかと思う…。
山が崩れるほどの爆発の中、馬に乗って颯爽と現れる六郎太（阿部寛）の姿には失笑した。

それにしても怒り肩の長澤まさみは着物が似合わないね。
男装中はまだ見られるけど…。
松本潤のひげ面も、キャラデザイン的にどうなのかと。
まあ、これは趣味の問題だけども。

六郎太役の阿部寛だけは雰囲気に合っていたと思う。

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