シネつう!
JAPAN STYLE !!

外事警察
その男に騙されるな
2012年制作

満足度:

NHKの同名ミニドラマの劇場版。
核爆弾の起爆に必要な設計図が日本の大学から盗まれる。
同時期に朝鮮半島で濃縮ウランが国外に流出したという情報が入り、警視庁公安部外事課、通称"外事警察"が動き出す…。

ドラマ版の続きだが、主人公の住本に反感を持っていたもう一人の主人公・松澤はすっかり外事に慣れている様子で時間の経過を感じる。
ただ、映画単品として観ても特に不親切な部分もないので、ドラマ版にあった良い緊張感をそのままに、映画として上手く移植できているんじゃないかな。
民間人を協力者に仕立てて"運営"するという手段の上での葛藤が、このシリーズではストーリーの軸の一つにあるけれど、今回もそこはしっかりしていた。
協力者がプロでない部分が緊張感を生む場面もあるし、よくできていると思う。

ストーリー展開は核を巡って日本と韓国の諜報機関が暗躍するというもので、作品はいかにもと言った感じのノワール的な雰囲気。
独特の暗さや重さが良い感じだし、多少のケレンはあるけど話の進め方のつじつま合わせもなかなかうまい。
「そんなご都合主義な…」という部分もあったけど、それは実は…という「外事警察」らしいオチもなかなか。
出演陣も演技の達者な人ばかりで見応え十分です。

ただ個人的な不満を言うと、肝心の核爆弾の起爆シークエンスの解除シーンが、少々納得できない。
「エネルギーが充填され次第起爆します!」というセリフがあったからには、充填前であれば点火に必要なエネルギーがないはず。
そもそも爆縮レンズは周囲から同時に起爆することが重要なので、周囲に配置されたレンズ部の起爆装置をどれか外すだけで核爆発には至らないのでは…?
普通の爆弾解除映画では"解除しようとすると爆発するから手が出せない"というシチュエーションで緊迫するのに、前述のようにエネルギーが充てんされていないというのが分かってしまうと、「不十分な段階でぶっ壊せばいいのでは?」と思ってしまう…。

全体的には緊張感のある良い映画だったので、そこだけが気になってしまうのが残念。


もどる(カ行)

当サイトは
円柱野郎なる人物が
運営しています
since 2003.02.01