シネつう!
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劇場版 からかい上手の高木さん
2022年制作

満足度:

山本崇一朗原作の同名漫画の劇場版。
西片と高木さんの中3の夏がやってくる。

TVアニメで通算3期が放送されて視聴者としては主人公たちの中学1〜2年の様子を見せられてきたわけですが、本作で描かれるのは中学3年の夏。
西片と高木さんの関係性にある意味での区切りがやってきましたね。
終盤で「ついに自分の気持ちをはっきりと自覚して言葉にしたんだなー」という場面を目撃するにつけ、それまでの中学2年間で子供っぽい対抗心から後へと徐々に好意へと変化していった西片の意識を見守ってきた身としては何やら感慨深いものもありました。
というか「こんにゃろ西片め無自覚にイチャイチャしやがってうらやましー野郎だ」と思っているであろう高尾と木村の気持ちの方が、観ているこちらの気持ちに近い気はするのだけど。
まあそれはそれで面白いのでいいですw
木村、良いやつだよお前はほんと。

この作品の本筋は西片と高木さんの関係性というか、彼らの青春の風景に「こんな中学時代があっても楽しかっただろうな」というファンタジーを感じることがメインとして作られている様に思ってます。
泥臭いところがないファンタジーだからこそ観ているこちらは2人の様子をニヤニヤと楽しめるわけで、そういう意味でも嫌味のないキャラ構造がよく出来ているなと思うところ。
基本的にショートショートの積み重ねで構成されてきたTVシリーズとも違い、この映画では拾った子猫の話を通じて一本の筋に仕立ててあるのも上手かった。
共通の対象に対する共通の感情を共有させることで関係性を一歩進ませる部分にも説得力が出ているよね。

基本的にはファンタジーだなと思う主人公2人の関係性の一方で、サイドストーリーとして描かれる三人娘(ミナ・ユカリ・サナエ)達の話の方は「中学最後の夏」に対して感じている“漠然とした寂しさ”が地に足付いていて切ない感じ。
今まで一緒にいた友人と、進学したら別々の学校になるかもしれないという不安の感情はよく分かるわ。
(サイドストーリーなので)そんなに時間を取って描かれないけど、でも場面場面で登場する彼女らの感情の塩梅がとてもよかった。

中学3年の夏か…。
俺自身はその時どんな気持ちで過ごしていただろうか。
おっさんになってから時間が経ちすぎて今となってはもう思い出せないけれど、ふとそんな子供時代のことを考えさせてくれる作品ではありました。
まあ少なくとも西片みたいに充実していなかったのは間違いないがw


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