シネつう!
JAPAN STYLE !!

マエストロ!
2015年制作

満足度:

さそうあきら原作の同名コミックスの実写映画化作品。
解散した交響楽団のコンサートマスターだった主人公・香坂のもとに楽団再結成の案内が届く。

オーケストラ映画としては、演目がベートーベンの交響曲第5番「運命」とシューベルトの交響曲第7番「未完成」ということもあって、キャッチーで聴きごたえがある。
「運命」のほんの微妙にテンポの速い演奏と、映画館の音響が相まって迫力満点。
演奏シーンだけで言えば劇場で観るべき映画と言えるだろう。

ストーリーは、再結成した楽団の前に現れた薄汚い風体の指揮者に振り回されながらも、どこかでその指揮者に救われて楽団が再び一つにまとまっていくという展開。
それぞれを掘り下げれば良い連続ドラマも撮れそうな気はしたものの、この作品は2時間映画なので、各メンバーのエピソードに触れはすれどアッサリしたもので、そういう意味では少し踏み込み切れなかった感もある。
さすがに主人公である香坂はメインの話らしい扱いだったけれど。
アマチュアフルートの橘あまねが加わることと、阪神大震災の記憶の絡みは少しとってつけたようで、もう少し何か段階があっても良かったんじゃないかと思ったかな。

演奏会のシーンは演奏の音こそベルリン・ドイツ交響楽団のものだけど、映像は演者の動きと音がリンクしているので違和感は無かったね。
本当に演奏しているかのような迫力は十分。
動作を演じるだけでも相当な練習はいるだろうな。
それでもって指揮者を演じた西田敏行のオーラがやっぱり大したものだと思う。
何となくにじみ出る凄みと、妙に下ネタが混じるいかがわしいオッサンという役柄もマッチしているが、シリアスと笑いの按排が上手いよね。

まあ、牛蒡でヤクザを撃退したくだりは、さすがにどうかとおもったが…。


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