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昭和33年。
東京のとある町での出来事を笑いと涙で描く情感あふれる作品
見事にやられた。
昭和33年は俺の両親の生きた時代。
俺の親父が話す思い出話に出てくる時代。
実際自分が生きていなくても、ひどく懐かしく感じてしまう。
ただこの映画は、ノスタルジックな舞台で感動させるだけでなく、話の展開も上手い。
中盤までは面白可笑しく当時の雰囲気を描き、後半は人物模様で泣かせる。
ストーリーはベタかもしれないけど、本当に後半はグッと来るね。
前半の笑いの部分では、鈴木オートの親父の爆発が見せ場。
まさに“怪獣”よろしく、扉を破壊して突き進む様は紙一重でコミック演出だわw
茶川の倒れ方も漫画でしかないw
でもそれが後半との展開のギャップというか、コメディとドラマのメリハリとして凄く効いて面白い
演出で感心したのは、時間の経過を東京タワーの建築具合で表現していること。
下手に“何ヶ月後…”とか文字で見せるような無粋なことはしない。
昭和33年の時間の流れを描く方法として実に上手いと思ったわ。
この映画で描かれる“昭和33年”は人の記憶に残る美しい部分だけが描かれているのかもしれない。
でも、それでもそういう風にとらえることが出来るのは、少なからずその時代を生きた人にとって良い時代だったからなんだろう。
物はなくても心が豊かであることはなんと素晴らしいことか…。
こんなに笑えて泣ける映画は久しぶり。
実に良い映画でした。
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