シネつう!
JAPAN STYLE !!

ヱヴァンゲリヲン
新劇場版:Q
2012年制作

満足度:

「新劇場版:破」に続く、ヱヴァンゲリヲンの新しいストーリー。
4部構成の3作目。

今作はTV版を知っている者にとっては意表を突く展開で、冒頭から話を追いかけるのに必死になってしまった。
いきなり前作から14年後という経過時間は、あまりにも多くの状況が変わりすぎていて、作り手はよくこの展開を決断したものだと感心するなあ…。
かつての仲間は対ネルフの組織を作り、空中戦艦を操り、歳を取らないアスカやマリがいる。
こんな状況をだれが事前に想像できようかw

ここまで状況が変わると観ている側すらも状況についていけず、確かに初見では何が何だか分からない。
だけど、これはまさに劇中でシンジが受けた世界からの拒絶に近いものであるし、そういう意味で主人公の感情を追体験させると効果的な仕掛けだと思う。
でも、こうも旧作の世界を飛び越えた展開にしておきながらも、「これは『エヴァ』だ」と思えるのは話の根幹が変わっていないからだろう。
状況に絶望して誰も信じられなくなるシンジや、シンジと関わるカヲルの共感性は変わらないからね。
むしろこの「Q」自体が第弐拾四話「最後のシ者」を膨らませたものとも思える。
(謎が謎のままほったらかし気味なのも「エヴァ」らしい…w)

個人的には「破」であれだけ人と関わりあってポジティブな方向に歩み始めたシンジが、結局このように拒絶の世界に舞い戻ってしまうという残酷さが残念でもあるのだけど、それは同時に「エヴァらしさとは何か」というジレンマを感じるところでもあって悩ましい。
ただ、旧劇場版の様な完全な拒絶ではなく、本作のラストでアスカに手を引かれていく姿にはまだ希望が残されていることを示唆しているし、次回作で今度こそシンジには幸せになってほしい、と望む。

カヲルが言っている。
「自分が納得いくまで何度も繰り返すのさ」

次回、「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||
話は繰り返し、世界も繰り返されるのだろう、シンジが幸せになる世界に向かって。
(“:||”(反復記号))
もどる(ア行)

当サイトは
円柱野郎なる人物が
運営しています
since 2003.02.01