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西野亮廣の絵本を原作にした劇場版アニメ。
ある日、煙に空を覆われた町に空から赤く光る塊が落ち、ゴミ人間が誕生する。
そのゴミ人間は煙突掃除屋の少年・ルビッチと出会いプペルと名付けられ、彼と友だちになる。
「煙の向こうには星が輝いている」という物語を語ったことで嘘つき呼ばわりされたルビッチの父。
その父の言葉が真実であると信じているルビッチの立場や動機はなんとなく「天空の城ラピュタ」を連想するが、まあ言ってみれば王道的な展開でもある。
原作が絵本であるので、そこまでひねった展開にする必要がないことを考えれば、わかりやすい動機と予定調和な展開は別に気にならないかな。
どちらかというと気になるのはストーリーラインに合わせて世界観が作られている感じが前に出すぎているところだけど、空から落ちてきた心臓が何なのか(まあ"お星さまでした"ってところなんだろうけど)に詳しく触れない割に、町の成立過程の“腐るお金”の話はなんか説明くさすぎる感じに語っていてなんかチグハグな感じ。
ファンタジーならファンタジーで通して町の過去は触れなくても良い気はした。
野暮なことを言えば、「空を見るな」「海に出るな」という禁忌がある割には熱気球や船の概念がちゃんと継承されているというのが気になる。
そもそも“星”があるかどうかの議論において、観客は“星は存在している”かつ“ルビッチの信じているものは正しい”という前提で観てしまうことになるので、展開に対しての“もしかして存在しないかもしれない”という不安が成立しない点に物足りなさを感じてしまったというのが正直なところです。
“天空の城”の様に見るまで“どんなものかわからない”ものと違って、簡単に想像のつく“星”ってところが逆に不利に働いているかもしれない。
まあ、その代わりに用意した物語の感情面での山が「プペルは何者なのか?」ということなのだろうけれど。
アニメはSTUDIO 4℃が全編3DCGで制作していてクオリティは高い。
アクションシーンはもう少し詰めても良さそうな印象を受けたけど、まあ100分映画にするにはそのあたりでのボリュームアップも必要か。
プペル役の窪田正孝とルビッチ役の芦田愛菜は悪くなかった。
とにかくべらべら喋るスコップというキャラは絶妙にうざったいが、うざいけど悪い奴ではないという感じを藤森慎吾は出せてたね。
でも台詞回しのテンポも中身もちょっとクドすぎたけど(苦笑)
父親役の立川志の輔は役のキャラデザとはちょっとギャップがあった印象。
(絵本の文なんだろうけど)彼が作った物語という前提で聞かされる語り口の優しさは良いと思うんだけどね。
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