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ある日、突然失踪した会社員の木村。
彼の居所をつかめと依頼された探偵北沢は、彼の同級生を名乗り中学教師をしている神野に接近するが…。
最初の内は大泉洋演じる神野が北沢の捜査で右往左往する様を楽しむ映画かと思いきや…、まさかのミスディレクションでやられてしまいました。
脚本が実に良くできていると思う。
伏線にも無駄がないし、観客をだます台詞もギリギリの線で整合性が取れているし。
例えれば序盤にある北沢との会話で、「佐野さんがお母さんになったんだよ」という神野の台詞。
その直前のシチュエーションから木村の妻と思われた女性の事を指しているのに、“嫁”や“妻”という単語を使わない。
俺は「なんで親友(木村)の妻に対して“お母さん”なんて表現を使うんだ?」と引っかかったんだけど、実はここが話のトリックになるんだよね。
映画のような映像表現は、画面から得られる情報で観客が勝手に設定を補完して考えてしまう。
この場合はオープニングにある木村と佐野の姿から観客が勝手に“彼らは夫婦か”と判断してしまうんだけど、作品内ではそんな説明はされていないというその持って行き方、ウソの付き方がホントに絶妙。
これはもう脚本の妙です。
ラストのオチに使われたビデオ映像もその延長にあるテクニックであるけど、ここへ来てオープニングの伏線(新しい靴)が効いてくるというのも、まったくもってニクいやりかたですw
こういう作品を観ると、脚本って大事なんだよなと再認識させられるねえ。
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