シネつう!
JAPAN STYLE !!

旭山動物園物語
ペンギンが空をとぶ
2009年制作

満足度:

“行動展示”で有名な旭山動物園が、その方針にいたった苦難の道のりを描いたドラマ。

“落語・艶歌”、“次郎長”と続いてマキノ雅彦監督が選んだ題材は動物園。
撮りたいものを撮っているというスタンスは良いね。

廃園寸前の動物園が如何に“行動展示”という形態を選択し、日本一の入場者数を誇る園になっていったのか、それだけでも「プロジェクトX」ばりにドラマがある。
そこに人間達のドラマを入れて物語としても良いものになっているんだけど、演出はちょっとわざとらしいものが多いかな?
特にラストなんて、園を退職して去っていく園長に動物たちの鳴き声が延々と響くシーンがあるけど、感動シーンであるのは分かるけど個人的にはやりすぎじゃないかと…w
そんな感じで、色んなところがかなり脚色したドラマ然とはしているんだけど、生きものについて考える機会を与えるという点では良かった。
おそらく作品のターゲットであろう子供達にも分かりやすいと思うし、観せたいと思えるような作品にもなっていると感じたね。

キャストはすごく豪華。
まあマキノ監督の人望の成せるワザというやつなのか。
園長役の西田敏行はいつものように安定していたけど、彼と度々絡むことになる商工部長役をマキノ作品の常連・笹野高史が演じてたけど、いやあ本作でも良い味を出してました。
怒る園長を前にして、その周囲の人間に言う彼の台詞「見せ物じゃないぞ、このマウンテンゴリラは」はアドリブらしいんだけど、絶妙な間で可笑しかったw
ああいうアドリブが出来るセンスは好きです。

あ、それとネタバレになるけど、飼育係役の長門裕之が劇中で死ぬわけですが、マキノ監督は「寝ずの番」に続いてまた兄貴の葬式を撮ったことになりますな。
そう思うとわざとそういう(死んでしまう)役に配役しているのかと勘ぐってしまったw

そういえばマキノ監督、ラストのラストに(静止画だけど)珍しく自作に出演してたね。

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