シネつう!
JAPAN STYLE !!

永遠の0
2013年制作

満足度:

百田尚樹の同名小説の映画化作品。
司法浪人中の青年・佐伯健太郎は、ある日、祖父が実の祖父ではなく、特攻で戦死したという実の祖父・宮部久蔵の存在を初めて耳にする。
健太郎は姉と共に、当時の宮部久蔵を知る戦友を訪ね歩くが…。

原作は既読。
全12章の小説からエピソードを抽出して、上手くまとめてあると思う。
特に零戦に関するウンチクや戦況に関することはかなりの部分をそぎ落としてる感じ。
映画では、戦争を生きた者から現代に生きる者への想いを伝えるというテーマに集中しているので、そういう取捨選択は良い判断だったかなと思う。
残してほしかったエピソードは大体入っていたしね。

やはり景浦(田中泯演/新井浩文)のエピソードはグッとくるのですよ。
最初の反発心から、言葉にならない敬意への変化と、最後までどうにも出来なかった状況での絶叫。
そして多くは語られない仁義…、松乃(井上真央)の「不思議なことがあった」という話を語りだけで済ませたのは悪くない。
血を吸った刀の話から自明のことではあるけども、描きすぎず、分かりやすい。

「あれほど死ぬことを恐れていた男が、なぜ特攻したのか」というミステリーで進行する話は、エンディングで一気に収束する。
ハッキリ言及するわけではないが、彼が残していったもの、守ろうとしたものから透けて見える宮部の想い。
突然主観になって、それまでに証言していた元零戦パイロットたちの語りが繰り返された画には、かなりこみ上げるものがあった。
さすがに健太郎が宮部を幻視するのはやり過ぎな気もするが…。
でもいい、良かったからいいw

残してほしかったエピソードは大体入っていたとは書いたが、原作のエピローグはカットされている。
映画としてのまとまりを考えると確かに蛇足かもしれない。
でも戦場での敵味方を越えた敬意を物語るエピソードだったので、しょうがないとは思いつつも少し残念ではある。

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