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余命幾ばくもないことを知った初老の男。役所の市民課長として過ごした今までの人生の無意味さへの後悔から、彼は人生に意味を残すために行動を起こす。
凄い。
重いけど本当に人生の意味について考えさせられた。
死んだように、判でついたような人生を繰り返すことに意味があるのか?
と問いかけ、必死に最後に“生きる”とは何かを探す主人公を描いた前半。
得てしてそう言った意味探しは自分中心の話になるものだけれど、「あすこでもやれる」と決意した主人公の姿には参った。
本当に命を賭して官僚主義的な役所を動かし、市民が願った公園を作り上げた主人公。
その公園で死ねた主人公は、最後の最後で満足だったには違いないと思ったね…。
映画の作りとして、後半一転して主人公の周りの人間からの視点となったのには驚いた。
通夜で故人の思い出を語る。
主人公の目線でない周りの人間が語ることで、彼の決意や行動が訴えるモノをストレートに伝えてくれたね。
主人公は自分の命について周りの人間にほとんどこぼさなかった。
それが、最も俺が感動したところです。
決して他人の同情を買うのではなく、静かな熱意で最後の最後に生きた主人公。
志村喬の鬼気迫る演技が本当に素晴らしかったね。
俺が同じ立場だったら、そんな風に生きられるだろうか?
きっと独り善がりに死んでいくんだろう。
そして、それを“生きたんだ”と勘違いするのだろうか。
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