シネつう!
JAPAN STYLE !!

犬鳴村
2019年制作

満足度:

旧犬鳴トンネルにまつわる都市伝説を題材にしたホラー映画。
心霊スポットを撮影するために伝説の“犬鳴村”、にたどり着いたカップルだったが、そこで何かに追いかけられ逃げ延びるが…。

そのカップル(坂東龍汰・大谷凜香)の男の方の妹(三吉彩花)が霊感が強い臨床心理士という設定の主人公ですが、妹役の三吉彩花より兄役の坂東龍汰の行動がまた年長者らしくないので、のっけから設定にチグハグな印象を受けてしまった。
というかさらに小さい弟もいるけど、そこに至ってはもうあんまり存在理由もよく分からなくて…。
もうちょっと上手くやれば話的に端折れるんじゃないの?とも思ったりしてしまったり。

冒頭のPOV風味な導入はベタだし、ワザとらしい人物のアップ登場を多様して怖がらせようというのが見え見えでクドいけど、POV自体は直感的に怖そうに見せられるのでそこは悪くないかなあ。
でもそれが客観視点の演出になってくると、どうにも恐怖演出の安っぽさが目に付いていただけない。
それでもまだ病院のシーンでは主人公と少年だけに見える謎の女性の存在がオーソドックスで良かったけど、中盤以降に幽霊の登場回数がインフレーションを起こしてくるともう…逆に全然怖くなくなってくるというのが皮肉でしかないな。

というか、人間が恐怖するものっていうのは身近なモノの変質だったり理屈の通らない現象のような理不尽さというか、そういったイヤな“感じ”だと思っているので、この映画の本筋が主人公の出自に関する謎解きにシフトしてしまった段階で、自分の中では物語のつじつま合わせに気が向いてしまってホラー映画として集中できなくなったというのが本当のところ。
終盤なんて、主人公が“村から電話がかかってくる電話ボックスに出る”という理由のよく分からない手続きで過去の村に行って赤ん坊の祖母を救い出しているけど、終いには「私の赤ん坊を返せ」と追いかけてくる化物となった女が主人公の兄貴を取り殺しちゃっったりして、「『赤ん坊、赤ん坊』言うとるけど、今追いかけてるそれお前のひ孫やぞ? ひ孫を襲うの?」とそっちの方が気になってしまうという…(苦笑)

そういうのもあって、全体的には序盤の15分?くらいをピークに自分のホラー映画に対するテンションはずっと下降線をたどっていきました。

まあ…強いて良かったところを言えば、鉄塔からの身投げのシーンはホラーとしてゾッとした描写だったと思う。
あれで目が合うってのは嫌すぎる状況だからね。
その場面にインパクトがあったので、後半に再び鉄塔と身投げが映った瞬間だけはやっぱり「この鉄塔はいい使い方だ」とテンション上がったし。


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