シネつう!
JAPAN STYLE !!

いぬやしき
2018年制作

満足度:

奥浩哉原作の同名漫画を実写化したSFアクション。
ガンで余命3ヶ月となった主人公・犬屋敷壱郎。
家族からも疎まれ、職場でも叱責される日々。
そんなある日、公園で謎の光に包まれた彼は気がつくと機械の身体になっていた。

アニメ版は視聴済みだったので、そちらのストーリーを知った上での鑑賞だったけど、基本的に物語のイメージをしっかり実写に落とし込んでいて悪くない。
人を救うことで生きる実感を得る犬屋敷と、他人を殺すことに躊躇しない獅子神の対比。
アメコミとは違った形で虐げられたヒーロー像は、日本的な感性によるものでもあるのかね。

さて、物語自体は警察が動き出して話が転がり始めるまでがちょっとローギアな感じもあったけど、終盤の新宿殺戮や空中戦などのVFXはなかなか迫力があって、総じては楽しめましたよ。
まあ序盤での獅子神の「殺人によって自分という命を実感する」という側面は少し薄くなり、どちらかというと復讐心の方が強めに出ている気がする。
彼の行動原理、親しい知り合い以外の命には極端に関心が無いという側面は変わらないけれど、獅子神が人を救う話がカットされた分、共感性はより薄くなってしまった部分もあるか。

主人公の犬屋敷を演じるのはとんねるずの木梨憲武。
見た目がジジイという主人公のイメージからするとちょっとイメージの違うキャスティングな気がするけど、老けメイクで登場した彼は納得のキャラクターになっていた。
特に自分の体の変化に驚くシーンの表情芸では、彼を使った意味が感じられて良いですなw
(実際にはフェイシャルキャプチャーしたCGキャラだけど。)

対する佐藤健は30歳手前にして高校生役…。
とはいえこの手のアニメキャラもたくさんこなしてきた役者なので、雰囲気作りはバッチリか。
バリバリのVFXシーンだったとしても、アクションシーンのサマになる感じはさすが。

本作の終盤はアニメ(原作)とは少し違った感じ(隕石のエピソードのカット)で終わるけど、アクション映画的に対決の決着で話をまとめたのは悪くないのかな。
とはいえ、結局そのために獅子神が他人を救う場面が無くなってしまったわけでもあるが。


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