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大正時代を舞台に、冷淡な継母に代わって放蕩者の弟の世話をする姉との絆を描いた、市川崑監督の代表作の一つ。
幸田文の同名小説の映画化作品。
映画史上初めて銀残しを採用した作品で、彩度は控えめでコントラストは強め。
画面の雰囲気が、時代を感じさせる良い効果を発揮してますね。
ストーリーは素行の悪い弟の世話に苦労する姉の日常のやりとりで進むので、比較的地味目。
全体的にいくつかのエピソードで進行している感じだけど、それを通して姉弟で面倒を見たり喧嘩をしたり、こ関係性が端的で分かりやすい感じ。
なのでその分、弟が肺病を患っていく終盤でも、変わることなく弟に接する姉の姿に共感もできた。
ただ、やはり全体的には閉じた関係性の話のせいか、どこか地味な印象がぬぐえないのだけれど…。
弟のため、家族のために自分を削っているように見える姉の女性像には、時代性も感じるところ。
ラストカットなんてまさにそれだと思う。
というか、余韻を全てぶった切るあの終わり方には驚いたが。
それにしても継母役を見事に演じる田中絹代が上手い。
信仰のフィルターがかかりすぎて嫌な人物になっているというキャラクターだけど、ホントに嫌なキャラで。
でもどこか憎めないのは、中盤で嘆きのあまり笑いに転化する場面があるせいか?w
「動けないということの大変さ」を弟から継母に言わせる脚本には辛辣さも感じたかな。
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