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フーテンの寅さんが巻き起こす騒動を描いた人情喜劇シリーズの第8弾。
前半は、博の母親が亡くなり、彼の実家である備中高梁での出来事が中心。
妻に先立たれた老人(志村喬)、久々に再開した兄弟たちのやりとりなどは、状況は違えど雰囲気が「東京物語」だなあ、などと思いながら鑑賞。
そこにいまいち空気の読めない寅さんが来て不興を買うわけだけど、悪気がないとはいえやっぱり「空気読めよ」と思ってしまうw
ある意味でブラックジョークだけども、完全に博の実家が主役なので、ここでは寅さんは脇役。そこはわきまえて登場も控えめか。
でもその後に、老人の家に転がり込んで諭される寅さんを見ると良い展開だななどと思う。
その後ちゃっかり受け売りで余所で語ってる寅さんがいかにも寅さんらしいw
その話の内容が後半でおいちゃんの顔芸に生かされる部分では大いに笑わせてもらった。
森川信が演じるおいちゃんは今作が最後だけども、寅さんとは最後まで絶妙な掛け合いを見せてくれて楽しかった。
それを思うと違う意味でちょっとさびしくなるなあ。
今作のマドンナは池内淳子。
帝釈天そばの喫茶店をやっているシングルマザーということだけど、寅さんが一目ぼれするのはともかく、その時点で旦那のことを気にしないの?なんて思ってしまった。
そしたらば、たこ社長が「何で後家さんだってわかったんだい?」なんて聞いて寅さんがハッとするもんだから、ああ、これは上手い、と。
周りが見えなくなる寅さんらしいし、いくらか段取りを省略させられるし、展開が良いなあ。
今作のフラれ方も、話し込むうちに「生き方への憧れが違うんだな」と察して身を引く寅さんが寂しげだけど、共感する。
さくらとの別れ際の会話も想いが伝わってきて良いね。
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