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フーテンの寅さんが巻き起こす騒動を描いた人情喜劇シリーズの第12弾。
本作のマドンナは岸恵子演じる柳りつ子。
前作(リリーの初登場回)と比べると、本作はいつもの寅さんの失恋話といったイメージというか…寅さんが恋に落ちるマドンナ像としては割と型にはまった感じかな。
でも失恋して寝込んだ寅さんを見舞いに来たくだりのやり取りなど、面と向かってバレちゃうのが何とも面白い。
全体的なつくりとして前半のとらやでのやり取りと、後半のマドンナ絡みの話という2部構成になっているのはお約束。
だけど前半のとらやでのやり取りは、寅さんが留守番になり、おいちゃん・おばちゃん・さくらをはじめ全員旅行に行ってしまうという変則的な状況になっていて、お約束を踏まえた上でのちょっとズラした仕掛けは面白い。
電話口での寅さんとおいちゃんの喧嘩など、画面分割を使ってまでいつもの勢いを見せつつ、「出て行ってやらあ!止めるなよさくら!」からの寅さんの表情が絶妙w
「寅さんとおいちゃんの喧嘩」という様式美を逆手に取ったギャグだけど、笑わせてもらいました。
そりゃあタコ社長も憐れみますわw
それでも寅さんはやっぱり“ええかっこしい”だけどいい人なんだよね。
とらやの人たちがなんだかんだ言っても寅さんのことを好きなのもわかる。
そう感じる前半の終わりが温かい。
マドンナが登場するのは後半になってから。
勘違い寅さんも含めてこの辺からの大筋はいつもの通りな展開かな。
まあそれはそれとして安心感はあるけども。
失恋を悟って一度とらやを出ていこうとした時に、勘違いを上塗りして「腹減った」と踵を返すシーンはこれまたテンポがよくて楽しい。
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