シネつう!
JAPAN STYLE !!

男はつらいよ
葛飾立志篇
1975年制作

満足度:

フーテンの寅さんが巻き起こす騒動を描いた人情喜劇シリーズの第16弾。

前作「寅次郎相合い傘」のマドンナ・リリーはある意味で寅さんと近い世界の人だったので、本作のマドンナ・筧礼子は設定が被らないように大学で助手をしている人物という設定。
ということで、本作の寅さんは学問がテーマの一つになるわけですが、寅さんが学問に興味を示すきっかけも、マドンナと出会うより前に旅先で和尚から「朝に道を聞かば、夕に死すとも可なり」(論語の引用)と言われてその気になるところがきっかけなので、動機としては意外とまともかもしれない?
まあ人に言われて調子よく考えるところは寅さんらしいですなw
というか、寅さんが学問を始めたってだけでいろんな人からお祝いをもらう とらやの面々には笑った。

中盤は礼子先生に勉強を教えてもらうのが寅さんの目当てになるわけだけど、例によって恋のライバルが現れ、失恋したと思い込んだ寅さんは再び旅に出る。
ところがそのマドンナの相手と思われた田所教授も結局マドンナに結婚を断られ…。
小林桂樹演じる田所教授が憎めない人物でいい感じだけど、ラストには寅さんとの失恋組の傷心旅行を割と楽しげにしているところにほっこり。
お互い同じ人が想い人だったんだけど、お互いにそれとは知らずってのがいいな。
まあこの二人ならお互いに失恋したとは言っても相手が誰だったかまでは胸の内にしまいそうだし、こういう感じの終わり方もありだね。
(一方、田所教授の求婚を断った礼子さんを前に、事情を知らないとらやの人たちが田所教授のことで「あの人の結婚相手を見つけないとねえ」とか言っているのはちょっと残酷にも思ったりしたけど。)

映画の冒頭はお約束の寅さんの夢
今回は西部劇風でサロンにやってきた“タイガー・キッド”が兄を探す娘に手を出そうとした輩どもを皆殺しにして立ち去っていく。
雰囲気はどう見てもコスプレ風だけど、みんな楽しんでやってそうだよなあw

あと序盤では女学生がとらやを訪ね、あわや寅さんの隠し子騒動といった話題になるところも面白かったが、(もちろん)誤解は早々に解けてその子の親と出会った16年前の思い出話を寅さんが語る。
ここで安易に過去の回想シーンにせず、寅さんというか渥美清の語りだけで回想として成立させるところがやっぱり寅さんというキャラクターの魅力だなあと改めて感じたね。


もどる(「男はつらいよ」シリーズ)

もどる(ア行)

当サイトは
円柱野郎なる人物が
運営しています
since 2003.02.01