8
吉田秋生の同名コミックの映画化作品。
家を出て行った父が亡くなり、葬式へと向かった3人姉妹はそこで出会った腹違いの妹を引き取ることにする。
映画的な事件のないドラマ。
だが登場人物たちにとっては腹違いの妹・すずと出会うことも、付き合っていた男と別れることも、花火を観に行くことも、家を出た母親が来ることも、食堂のおばさんが亡くなることも全部事件だろう。
でもそれを殊更にドラマチックには描かない。
季節の移り変わりと日々の暮らしの中で、主人公たち姉妹が人間らしく生活している感が伝わってくる、とてもいい日常ドラマだと思う。
主人公が4姉妹ということで、それぞれにフォーカスを当てると割と進行が大変になりそうなところだけど、日常の暮らしの自然なセリフ回しで各々の性格や背景が透けて見えてくる演出は上手い。
冒頭の葬式の場面、喪主のあいさつでもめるシーンを観て、「ああこの映画はちゃんと人物背景を描写で見せる映画なんだ」と理解したけど、ちゃんと映画全編そういった感じで出来ていたよね。
すずの母親なんて、その場面にしか出てこないのに、だいたいどんな人間か分かっちゃうもんなあ。
長女・幸と母親の都の口論と、それを諌める大叔母の場面は好きだな。
その後、微妙な距離感を感じさせつつ和解しているところも。
出演者は皆達者。
主役4人はそれぞれ主演を張れるキャラクターだけど、ちゃんと4姉妹と言われて違和感のない関係性が感じられる。
樹木希林は何をさせても樹木希林だけど(w)アクセントになっていて妙な安心感が。
男が脇役の話ではあるけど、堤真一や加瀬亮、リリー・フランキーも枝葉を支えていて良い感じです。
もどる(ア行)
当サイトは
円柱野郎なる人物が
運営しています
since 2003.02.01