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小山宙哉原作のマンガ「宇宙兄弟」。
アニメ化された同作品の1話に至る前日譚を描いたアニメーション作品。
前日譚となると、兄・ムッタはまだ自動車設計会社の社員。
一方の弟・日々人は新人ながらベテラン宇宙飛行士であるブライアン・ジェイのバックアップクルーに選ばれたところ。
ムッタはまだその後の自分の運命に気づいてもいない時期なので、本編でメインとなる"宇宙飛行士を目指す"というテーマはほとんど出せないのだけど、遠く離れたところにいる兄弟の関係性は本編同様にドラマとして組み込まれていて、作品としての一貫性は保たれている。
ただ全体的には、ブライアン・ジェイというカリスマが指し示した宇宙飛行士としての生き方のドラマの方が強いか。
何せ観客はCES-43の悲劇を知っているし、ヒビトの月面での事故のことも知っている。
ブライアンの言葉ひとつひとつがヒビトの糧となっているのだな…と分かる、良いエピソードだったと思うね。
まあその分、相対的に兄弟の絆の部分がどうしても弱くなってしまうのだけど、そこを補強すべく入れたのであろう「勇気のポーズ」のくだりは、個人的にはちょっと取ってつけられた様にも感じたかも?
話運びもテンポがいまいち遅いのが気になった。
やはりムッタをストーリーに入れるための工夫が足を引っ張ってる?
本作には本編からの登場人物が大勢いるけれど、そういう人物にはほとんど説明がないので、基本的にその関係性や人物像が分かるファン向けの作品。
もちろん本編を知っていれば、画面の端々に準レギュラーのキャラクターが映っているので面白い。
逆に知らなければ何の感慨も生まれないだろうから、それはちょっともったいないかもね。
映画のゲストキャラでは「海老じい」がムッタの方で重要な関わり方をするのだけれど、ちょっと声が…。
ここはもう少し爺さんの声に合った人をあてて欲しかった気もする。
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