シネつう!
JAPAN STYLE !!

BLAME!
2017年制作

満足度:

弐瓶勉の同名漫画の劇場アニメ化作品。
いつか、どこかは分からないが、AIによって拡張し続ける巨大都市。
AIへのアクセス権を剥奪され駆除対象となった人間達が、かつての繁栄を忘れるほどの年月が過ぎ去った時代を舞台にしたSFアクション。

原作は未読。
弐瓶勉の作品は「シドニアの騎士」しか読んでいないけど、本作ともどこか似た都市造形やメカデザインは何か惹かれるところがあるね。
内容は劇場版用に再構成されたストーリーという事もあってか、初見の自分のような人間でも問題なく楽しめた。
というか世界観はSFではあるものの、内容は時代劇でも西部劇でも通用するような筋立てなので入り込みやすいんだと思う。
“困窮した村人の前に現れるさすらいの達人(しかも無口)”…王道なプロットですなw

この「BLAME!」はその「シドニアの騎士」よりも前に書かれた漫画だけど、アニメとしては「シドニアの騎士」の後に制作されたのがこの劇場版という事になる。
ポリゴン・ピクチュアズによるCGキャラクターたちの造形は、同社が制作した「シドニアの騎士」「亜人」からさらに進化しているように感じた。
「シドニア〜」のころは角度によっては顎のラインとかで少し不自然に感じる時もあったのだけど、本作ではそんな感じはしなかったからね。
特にCGキャラクターとしての演出上のアドバンテージは、やはりアクションシーンかな。
能面を付けた虫の様な動きをするセーフガードの動きの不快な感じも秀逸だけど、主人公と上位セーフガードとの格闘戦の迫力はとても良かった。
重力子放射線射出装置のエフェクト(特に燃えたチリが漂うような演出)の格好良さと言ったらないが、これは音による効果も大だろう。
重低音を響かせる場面も多々あるので、劇場で楽しむにはとても良いアクション映画だと思う。

映像としては全般的に暗い場面が多いのが難だが、世界観重視の“雰囲気”は俺は好きだなあ。
読めなさそうで何とか読めるインタフェースの文字とか、画面の情報量もそういった世界観の底支えには効果的。
でもその世界がなぜそうなったのかや、「人間がアクセス権を取り戻す」といった完全な解決に至るわけでもないところを見ると、その世界観は物語を描くための装置でしかないという割り切りも感じるところではある。
そういった雰囲気の世界を受け入れられれば十分に面白いし、少なくとも説明重視で頭でっかちになったり、最後にセカイ系的な解決をしてしまう話よりは個人的には好みな展開です。

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