シネつう!
JAPAN STYLE !!

BLUE GIANT
2023年制作

満足度:

石塚真一の同名漫画を原作にした劇場アニメ。
世界一のサックス奏者を目指し先代から上京してきた主人公・宮本大。
東京で出会ったピアニストの沢辺と同郷の玉田との3人で、バンドを組んでの活動を開始する。

原作は未読。
主人公の宮本は努力型の天才といったところだろうか。 ただ正直言うと、主人公の性格が真っ直ぐ過ぎるが故に逆に作り話みたいに見えてしまった部分もあるかな。
何というか…話が上手くいきすぎているというか、宮本がこの映画の中では挫折を経験していない様に見えてしまったんだよね。
どちらかというと劇中で挫折を経験しているのはドラムの玉田やピアノの沢辺であって、構成的にはそちらの方が主人公にした方がまとまっていたかもなんて感じる物語になっていた気がする。

そう感じてしまうのは、宮本にとっての大きな起承転結の物語構成の中で、おそらくこの映画が「承」の部分でしかないからじゃないだろうか。
だから宮本が上っていく話に終止するので「上手く行き過ぎている」ように感じたのかなとは思う。
でも長い連載漫画の間から話を取ったことを考えれば、その大きな「承」の話の中で玉田や沢辺の「起承転結」を使って上手く纏めているかなとは思った。

途中で後年と思しきインタビュー映像が挟まるけど、その内容からも宮本が名奏者として名を馳せたのであろうことが垣間見える。
なのでその後年の時期が宮本にとっての「結」なのであれば、やっぱりこの映画の話は「承」なのかなとも思ったし、映画のラストにミュンヘンへ旅立ってからがきっと「転」の物語なのだろうなと感じてしまうところなのです。

演奏シーンは演奏が本物なのでやっぱり熱い。
音楽イメージと一部の作画のマッチングもとても良くできている。
作画以外の大部分の演奏シーンはCGキャラクターで演奏を見せているけど、その部分は作画部分とややギャップを感じるところもあって惜しかったかもしれない。
音楽の熱量と同じくらい、全てを作画にしてカメラをグリグリ動かしていたら観ているこっちも卒倒していたかもしれないけど、CGキャラはCGに見えてしまったのがややもったいなかったかな。

とはいえ主人公の真っ直ぐさと熱量は伝わってくるし、映画館の音響で見る価値のある作品だとは思いました。


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