シネつう!
JAPAN STYLE !!

バブル
2022年制作

満足度:

重力変動を引き起こす泡に包まれてしまった東京を舞台にパルクールバトルで生活をする若者たちがいた。
そのメンバーの一人である主人公の少年と、謎の少女との出会いを描いたオリジナルアニメーション作品。

監督はアニメ「進撃の巨人」や「甲鉄城のカバネリ」の荒木哲郎監督ということでアクションシーンのスピード感には期待をするところだけれど、そういう意味でのクオリティに関してはその延長線上にしっかり位置していて見ごたえはあると思う。
ただそれがメインであるかのような構成になっているというのもまた事実で、序盤や中盤のパルクールバトル、練習シーンや終盤の突入シーンも含めると話の半分くらいはアクションだったんじゃないかという印象もある。
(状況はともかく)見せ方に大きな変化があるわけじゃないので、ここまで来るとやや食傷気味になってしまっている部分もあるかも。

メインストーリーは分かりやすく「人魚姫」をモチーフにしたものになっているけれど、このあたりは主人公の感情面をそのおとぎ話に重ねることで1時間40分という尺の中でも観客が理解しやすくなるようにという工夫にも感じられたかな。
まあ逆に言えば乗っかりすぎているので裏切りもなくなってしまっているのだけどね。
人間と非人間の恋という使い古された設定としては、かなりベタな展開で終止してしまった感じなのはもったいないし、ベタなのに登場人物の感情にいまいちついていけなかったのは尺の短さゆえのことのようにも感じられる。
なにか色々と物足りないというかもったいないというか。
これがTVシリーズで2クールぐらいあればまだ違ったかもしれないけれど…?
そういえば、少女の半身が泡となっているシーンでは「交響詩篇エウレカセブン」のエウレカを想起してしまったが、本作も観客の感情を引っ張るのであればあれぐらいのボリューム感は必要だったかもね。

結局のところ観終わってしまえば「遅れてきたセカイ系」といった印象だったというのが正直なところ。
それに極端なことを言えばアクションシーンを見せるための設定だという感じも隠せていない。
映像はきれいだしベタはベタとして話もまとまって入るのだけど、今この題材でやるのならもっと裏切りのある話を観たかったかな。


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