シネつう!
JAPAN STYLE !!

東のエデン 劇場版T
The King of Eden
2009年制作

満足度:

ノイタミナ枠で放送された同名アニメのその後のストーリーを描いた劇場版前後編の前編。
“100億円で日本を救え”というゲームに巻き込まれた12人のセレソンの駆け引きを描く。

まずTVアニメ版は全11話あって、この映画は完全にその続きなので予備知識無しではまず話についてこれない。 そういう意味では映画として完結している作品ではないです。
全てのエピソードのラストだけを切り取って劇場公開するというのも最近の流行だけど、正直言うと個人的にはその商魂は好きではない。
だけど「東のエデン」という話が、TV最終回を観てそれでもその続きが知りたくなる様な謎と駆け引きがあり、素直に面白い話だとは思うね。

監督・脚本は「攻殻SAC」シリーズの神山健治。
彼らしい政治や社会を絡めた展開はなかなか硬派。
それでいて主人公・滝沢朗とヒロイン・森美咲の淡い感じの話が良い案配に展開されて硬軟自在に進む構成も上手いと思う。
この映画では滝沢が再び記憶を消し、咲がニューヨークへ探しに行くところから始まるけど、出会うところまでは若干スローテンポに思えたものの、全体としてはあっという間に上映時間が過ぎてしまう話でした。
(元々82分しかないけどw)

まあ“記憶を無くした滝沢”というのはTV版の繰り返しなんだけど、今回は訳の分かっている仲間が状況の説明役として進行させるのでもう少し話の見通しは良い。
とはいえ仲間達の方は諜報戦で忙しいってのに、記憶を無くした滝沢と咲はまるでニューヨーク観光のような立ち回りですな。

それにしても滝沢という人物はその嫌味のないキャラクター造形が上手いよね。
羽海野チカのキャラクターデザインというのが効いているんだろう。
逆に声しか出てこないセレソンのコンシェルジュ・JUIZも良い演技で楽しませてくれます。
これはJUIZ役の玉川紗己子女史の功績ですなあ。
特にセレソンYとの会話は笑わせてもらいましたw
ホントに何がしたいんだYw

しかしこの映画でTV版の伏線を回収するのかと思いきや、ここに来ても先の読みにくい展開を繰り出してくるあたりは神山監督の意地が感じられます。
まだ正体不明なセレソンはいるし、さらには今まで暗躍しても自分の手を下さなかったセレソンTの物部がとうとう動き出し、物語は後編へ…。
どう話を収集していくのか、うーん続きが気になるぞ!

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