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ノイタミナ枠で放送された同名アニメのその後のストーリーを描いた劇場版前後編の後編。
“100億円で日本を救え”というゲームに巻き込まれた12人のセレソンの駆け引きを描く。
劇場版Tがミサイル発射などの盛り上がりがあったのと比べると、この劇場版Uは風呂敷をたたむのに必死で映画的スペクタクルのないまま終わっていった様な印象。
滝沢と物部の対峙、Mr.OUTSIDEが語る真相など、ストーリー上での山場はあれど、やはり会話劇に終始してしまうと今ひとつパンチがないか。
Mr.OUTSIDEの回想内で滝沢が語る金銭の価値観、“金を払う方”ではなく“お金をもらう方”の意識としての「お客様は神様です」という考え方には少しハッとしたけどね。
正論だが普段忘れそうになっている気もするので。
やはり神山監督という人は、そのあたりの論理性が捨て置けない人の様で、TVシリーズからのテーマである“この国を良くするにはどうしたら”というところに言及しないではいられない。
もちろん、そこが落ちないとこの話は完結しないんだけど、もう一方のテーマである滝沢朗と森美咲のロマンスよりもそっちに傾斜してしまっている感じは受ける。
TVでの滝沢からのキスか、映画のラストでの咲からのキスかでキャラクターとしての成長が感じられるとはいえ、ね。
さて、謎だらけのゲームとその真相はこの映画でケリをつけたことになるわけだけど、終わってみれば劇場版自体は長いエピローグだったと気づく。
やはり話の最も山場となったのはニートパワーでミサイルを撃墜したTVシリーズの最終回だと思うし。
でも、エピローグにしては滝沢の出自が(何となく)明らかになった以外は色々と謎も残っているし、物部を殺す役回りだけになってしまったセレソンX・結城の扱いは中途半端で、物部は計画も道半ばでゲームセット。
「残り劇場版1作で話を収拾させるには」これしかないと思う一方、やはり消化不良気味な印象が残るのは残念だったかなあ。
まあ今度は記憶の消えなかった滝沢が、いつか森美咲の前に再び姿を現すのだろうという希望は残る終わり方なので、それは良いと思う。
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