シネつう!
JAPAN STYLE !!

劇場版 ファイナルファンタジーXIV
光のお父さん
2019年制作

満足度:

プレイヤーのブログから端を発し、書籍化、TVドラマ化を経て劇場映画となった親子の物語。
ある日、仕事人間だった父が家族に相談もなく会社を退職した。
燃え尽き気味な父の姿を案じた主人公の青年は、かつて父と遊んだ唯一の思い出のTVゲーム「FINAL FANTASY III」のことを思い出し、現在自身がプレイヤーとして遊んでいるオンラインゲームの「FINAL FANTASY XIV」を勧めてみるが…。

TVドラマ版の方は少し観ていたけれど、こちらの劇場版はキャストは違うもののスタッフはほぼ同じ。
わざわざ映画用に作り直している理由はよく分からない部分もあるけど、作品としてはこちらも良くまとまっているし面白かった。
オンラインゲームの「FF XIV」は最初の頃に少し(1〜2年ほど)やっていたので、自分としてはこのゲームがどういうものかを知った上での鑑賞だったけど、実際にはそれを知らなくても楽しめる内容だよね。
究極的に言えば親子愛の物語だし、題材はゲームだけど、正体を隠して行っている文通でも成立するかもしれないといえばそうだ。
そういう普遍的なテーマによって観る者がこの話へ感情移入することを容易にしているのは間違いない。
まあゲーム内のルールや作法みたいなものを知らなかったり、リアルとのギャップだったりという部分をネタに笑いを取っているシーンもあるけど、そのへんもゲームのコアな知識が無くても楽しめるように見せているのは良いと思う。

とはいえ、その上であえて「FF XIV」というゲームを題材に使っている以上、その作品に対しての敬意もあるわけで、昔プレイしていた身としてはそういう部分でも気持ちのいい作品になっていたと思う。
ゲーム内に広がるエオルゼアという世界の広さ。
画面の向こうにいる仲間という存在。
強敵との困難な戦いと、協力し合ってそれに打ち勝つ快感。
そういう体験を共有するというオンラインゲームの魅力が伝わってきたもんな。

その人にとっては「たかがゲーム」ではない。
もう一つの生きる世界が広がっているのだから。

(もちろん実際のオンでは心無い罵り合いも起きたりすることはあるわけだけど、そういう面は描かれないので基本的にオンラインゲームの「正の面」だけを描いている、とも言える。
まあそういう負の面はこの作品のテーマではないからね。)

個人的には、病院から抜け出してどこに行ったか分からなくなった父がエオルゼアにいることを、オンの仲間が主人公に連絡してくる場面が「オンラインゲーム」という“つながり”を感じる場面だったと思った。

そしていよいよ主人公が父親に正体を明かす場面…。
あのタイミングはずるいわ。
チャットでの「よかった 今度は一緒に倒せたんだな」って…もう、俺も歳だから涙腺が弱くなっているんですよ。
ベタベタな展開なのになんだか目から汗が流れてくるんだからたまらん。
親子愛に弱いんですわ、俺。


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